MAIN
□大変な子守り
1ページ/2ページ
動けないんだけど。不機嫌な声で、そう呟いた。
右には露草、左には萱草。いつもの光景ではない、二人のサイズがおかしいのだ。
それには鴇時も気付いており、紺は呆れ銀朱は目を輝かせている。
不満そうな表情をしているのは梵天だけだった。
「…何が起こったんだい、これは」
「さぁ?」
「可愛いですね〜♪ひゃ〜♪」
「今、俺はあんたがいる事に疑問を持ったよ」
「ぎゃー!はなせー!」
「……」
頭も子供のようになっているらしく、小さな露草は抱きついてきた銀朱を必死に離そうとしている。
萱草はただ無言で、離されるのを待っていた。
梵天はその隙に離れたが、萱草が服の裾を掴んでいた為あまり動けなかった。
「萱草?」
「俺は、お前の事が好きだ」
「!?」
「あ!ひわはおれのだ!おまえなんかにわたさない!」
銀朱の腕から抜け出すと、梵天の足に勢いよくしがみ付く。
ぶつかられたような衝撃が来たが、小さいのでそこまで痛みもない。
お前のものじゃないと思いながら萱草を抱え上げる、その行動に露草は口を開く。
「ひわ!なんでそいつをかかえるんだ!」
「俺は無知で貧弱な奴は嫌いだと言わなかったか?」
「なっ!」
無知という事は否定できなかったが、貧弱じゃないと反論する。
一つだけは否定しないんだ、面白そうに笑った梵天の顔を綺麗だと怒りながら思ってしまった。