笑止千万

□第1訓 災難は忘れたころにやってくる
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私は夕暮れの道を歩いている。


仕事の帰りが今日はいつもより早かった。


こういう日に限って何かある。これは私の経験だ。


そういえば先程から何か騒がしい。


その音は私の家に近付くにつれて大きくなっていた。


まさか―とは思うがそんなことがあっては困る。


だって私には行くところなんてない。


泊まりに行けるほど仲のよい友達はいない。


だから…誰か嘘だと言ってくれ。


家が燃えているなんて。


―何故っ!?


私さっき言いましたよね!?


神様の悪戯ですか!?


私の心の嘆きを聞き付けてか、一人の男性がやって来た。


「あのすいません。これは一体…。」


「うるせぇ!!黙れ!!」


怒鳴られました。


…ちょっと確認します。


私の頭には何故か拳銃。



首を締めるように男性の腕がある。


この状況は、ドラマでよく見る…。



人質ですか。



マジですか。



「あなた攘夷浪士ですか?」


「それがどうした。」


「なんで―」


私の言葉は足音にかき消された。


何事かと思いそちらを見ると黒い集団が。


―真選組だ。


「観念しやがれこの放火犯!」


黒髪の男が叫んだ。


刀の先がこちらを向いている。


「観念するのはアンタのほうでさァ土方コノヤロー。」


「総悟ォォォ!!ちょっと黙ってろォォ!!」


なんなんですかこの人達。


助けに来てくれたのかと思ったら、喧嘩し
てるよ。


とにかく、さっきから気になることを確認しよう。


「あの家に火をつけたのってあなたですか?」


男はあぁと返事した。


こいつか。私から全てを奪ったのは。


私は思いっきり男の腕を噛んだ。


案の定私は腕から開放され、自由の身に。


チャンスとばかりに私は走り出した。


と同時に真選組が男に向かって行った。


ここまでは計算通り。


ただ唯一の誤算は男の立ち直りが早かったこと。


発砲音が辺りに響き渡った。


私はバランスを崩して転倒。


何が起こったのかよく分からず、ただ脚が熱いとしか分からなかった。



‐to be continued‐
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