短編集

□季節外れのお祭り
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今日は夏に流れたお祭りがやる日。

クラスメイトのオズとアリス。

あと、なぜか付き添いとして、ギルバート先生とブレイク先生という不思議な組み合わせで行くことになった。


「なんか変な組み合わせ・・・」

私がぽつりと呟いた言葉が聞こえたのか、オズがこっちを向く。

「先生がいると、きっと楽しいよ?」

「えっ?」

オズは先生達に聞こえないように小声で言った。

だが、言葉の意味がわからず首を傾げる。

「ギルバート先生〜!なにかおごってくださいよぉ」

オズはにっこりとギルバート先生に笑顔を向けた。

まさに天使の微笑み、だ。

「仕方ないなぁ・・・」

そんなオズに対してギルバート先生は少し照れたように笑っている。

「ギルバート先生ェ。私にも何か買ってください」

ブレイク先生も笑顔を向けた。

ただブレイク先生の笑顔は少し・・・怖い気がする。

「いや、ブレイク先生は自分で買ってくださいよ」

「そんな差別良くないですヨォ。ブレイク、悲しい」

「おい!わかめ!あれが欲しいぞ」

「先生ー、俺も」

ブレイク先生に続いて、アリスとオズがギルバート先生に向かって喋りかける。

「えっ?な、なんだ!?」

ギルバート先生は、アリスとオズに頼まれた(せがまれた?)飴細工の露店を見に行こうとする。

しかし、思い出したかのようにこちらを振り向いた。

「お前は?」

「えっ?」

突然、ギルバート先生に声をかけられ間抜けな声を出してしまった。

「いるか?」

「えっーと。先生のお財布が大丈夫なら・・・」
控えめにそう言えば、ギルバート先生はぷっと吹き出す。

「ひどいな。そんなに貧乏な奴に見えるのか・・・・・・?」

「いや、そういう訳じゃないです・・・」

「じゃあ、適当に買ってくるぞ?」

「はい、お願いします」

そして、戻ってきた先生は4人分の飴を持っていた。

アリスとオズは兎で、私は猫の形。

そして、ギルバート先生は残りの一本の飴細工の鳥を持ってブレイク先生に近づいた。

「・・・・・・・・・ブレイク先生」

「はい?なんデスカ?」

「・・・・・・・・・・・・これ・・・・・・」

ギルバート先生はぼそりと小さな声で言い、鳥の飴細工を一つ差し出す。

「・・・・くれるんデスカ?」

ブレイク先生は驚いた表情をする。

どこかわざとらしいが。

「……どうぞ……」

「わぁー。ありがとうございマス」

ブレイク先生は嬉しそうに飴を口にする。

だが、すぐにガリッと嫌な?音がした。

驚いて音のした方を見れば、ブレイク先生がガリガリと飴を食べていた。

舐めているのではなく、食べている←

「ちょ!?ブレイク先生!?食べるならもう少し味わって食べてくださいよっ!!」

「ん〜(ガリッガリッ)十分味わってますヨォ?」

どこがだよっ!!!と突っ込みたくなる。

ブレイク先生はそのまま一瞬で綺麗な飴細工を食べてしまった。

勿体無い・・・。せっかく綺麗な飴細工だったのに・・・。

その後、欲しい物がある度にみんなギルバート先生におねだりしていた。

先生という立場なのに、ぱしりにされてしまっているギルバート先生は・・・いい人だ。とてつもなく。

嫌なら断ればいいのに、断れないところが、へたれといわれる所以なのだろうか。←

少し疑問に思う。

「あっ!花火!!」

誰かが突然叫んだ。

雲がない夜空に、大きな花が咲き誇る。

「・・・綺麗・・・」

思わず声が漏れた。

「冬にみる花火もいいものですネェ」

ブレイク先生が珍しくまともな感想を述べている。

「ぉぃ、オズっ・・・!」

「ん?どうしたの、アリス?」

「この音はなんだ!?」

アリスが耳を一生懸命おさえてる。

「花火の音だよ?」

「耳が痛い!!どうにかしろ!!」

どうやら、アリスは花火の音が苦手なようだ。

無理難題を出されてオズは慌てている。

「ブレイク先生!!どうすればいいですか?」

「そーいうのは、ギルバート先生に聞いてください。私は専門外のことは答えられませんヨ」

「俺ですか!?」

突然の指名にギルバート先生は声をあげる。

その先生の慌てぶりに、その場にいた(アリス・ブレイク先生以外が)ぷっと吹きだす。(=私とオズだけともいう)


結局はこーなるのか。

先生も大変だな。

「じゃあ、ギルバート先生のお家にでもお邪魔しましょうカァ〜」

「はっ!?」

「あっ!賛成〜♪」

「部屋の中なら音も聞こえないだろうな・・・。よし、案内しろワカメ」

「・・・・・・行きたいかも・・・・・・」

ギルバート先生は、本当にいつも大変だ。

そう思いながらも、つい本音が漏れてしまった。

「っ!お前までっ・・・!!」

先生の困りごとはまだまだ続きそうな予感。



      
                END



⇒あとがき(言い訳に近いというか言い訳
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