Thinking
□夜の散歩
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ちょっと疲れた時や、一人になりたい時は、良く夜に散歩に出掛ける。
自分は夜の方が好きだ
昼の人の喧騒は苦痛だし、
夜の暗さは自分の汚れた部分を隠してくれる気がするから。
今日は空気が穏やかだな。
きっと秋が近付いて来ているんだろう。
風が少しずつ優しい匂いに移ろいで、季節の変化を予感させる。
同時に抗う事の出来ない時間の流れを感じて、少しの寂しさと哀しみが自分を包み込む。
人と時間に流されてばかりの自分は一体何処へ向かっているのだろう。
誰も答えてくれない問いを空に投げ掛けた。
月が綺麗に浮かんでる。
穏やかに、でも何処かしら哀しそうに笑ってる。
都会の地上は眩しいから星がほとんど見えない。
きっとお月様も寂しいんだろう。
無限の闇に佇む姿は、今の自分の目には余りにも儚く、寂しげに映った。
哀しいよ、寂しいよ。
幾ら闇の中で叫んでも、声は誰にも届かない。
昼が苦痛な自分にとって、この世界は酷く堪え難い。
そう言って明日もまたじっと昼が過ぎるのを待つのだろう。
そうして夜もまた寂しげに笑うのだろう。
まだ生きていることを確かめるように。