新志短編1

□ぼくの家族
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帝丹小学校 1年B組の教室
「みなさ〜ん!いいですね?ではさようなら〜。」
「「「さようなら〜」」」
 (ちっともよかねぇよ。)
工藤一志はそう思っていた。
 (まじでどうしよう…)
沈んだ気分のまま一志は帰路へとついた。

「ただいま〜」
一志の家は大きな洋館。それでもどこもがきれいなのは母が頑張っている証拠だろう。
「おかえりなさい。やけに沈んでるわね」
母は鋭い。母と父譲りのポーカーフェイスだがそれでも見破られる。
「とりあえず手を洗ってらっしゃい。レモンパイを作ったから。」
「レモンパイ!!」
一瞬にして気分が明るくなった一志。
どこか大人びていても、やはり子供らしい。


「志保〜、一志〜、ただいま〜!」

「おかえりなさ〜い!」
「おかえりなさい」
走って玄関まで父を迎えに行く一志とは対称的に志保はあくまで冷静だ。
「おい志保!せっかく3日も事件で帰れなかったのにそっけないな〜」
「あら、早く上がって手を洗わないとレモンパイ覚めちゃうわよ?」
「レモンパイ!!」
父はどこまでも一志に似ている。
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