新志短編1

□ぼくの家族
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家族揃っておやつにレモンパイを食べている。
「ところで一志、さっきなんで沈んでたの?」
「え?」
 (やべっ!忘れてた)
「いや、それは、その…」
「明日の授業参観でしょ。」

 ギクッ!
「図星ね。」
「おい、明日だったか?授業参観。」
「えぇそうよ。あなた明日仕事?」
「いいや。明日は何か予定あったな〜と思ってあけといた。」

  「えぇ〜〜〜〜!」

「何だ一志、来てほしくないのか。」
「いや、そうじゃなくて…来たら大混乱になるんじゃない?」
「それもそうね。でもいずれは通る道なのよ。」
「でも幼稚園の時はパパとママのことあんまりしゃべっちゃいけないって言ってたじゃない。」
「幼稚園のころはね。でももうあなたは小学1年生よ。大丈夫でしょう。」
志保は諭すように言う。

「本当は作文に悩んでたんでしょう?」
少し目が意地悪く光っている。
「何で知ってるの?」
「一志、ママは心の中が読めるんだよ。」
父は軽く笑っている。
「ちょっとあなた。そんなウソしょうもないわよ。」
「おい…。」
 (実際そんな風な時もあるんだけどな)
「なにかいった?」
「い、いえι」

この家は母が強い。

「さっきね百合ちゃんのママから電話があったのよ。」
 (百合のやつ言うのがはえぇんだよ)
「私たちのことしっかり書いてね。有名小説家のお孫さん♪」
「…………」
「わかった!?」
「はい!!!」
やっぱり母が強い。
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