・・金黒・・

□●愛シテ●ーAfter Episodeー
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俺はこの男を愛しているんだと認めた。


この男は俺を愛しているんだと知っている。


そして、この部屋に帰って来いと。


俺の傍に居ろと言った。



それなりの覚悟があって、あんな告白を晒した。



けれど。



その先なんて、考えて無かった。


正直未知過ぎて、考えた事も無かったんだ。





「……ッ、…ん!」



思い返せば悪夢のような醜態を晒した告白の後。


騒ぐオカマをなんとかかわして二人は土方の部屋へと向かった。


二人きりになれば妙な気恥ずかしさと、どうしていいのか分からない気まずさで土方は難しい顔をしたまま一言も話せずに居た。

そんな土方の様子を知ってか知らずか、土方の後ろを歩く金時も一言も発しないから無言で部屋まで歩く。


エレベーターの中も終始無言を貫いて、なんだか変な空気のまま部屋の鍵を開けた。



だが、部屋に入った途端。


いきなり金時が抱き着いてきて、玄関のドアに押さえ付けられた。


何が起きたのか理解出来なかった土方はただ目を見開いていたが、直ぐに金時に唇を奪われてその目も閉ざすしか術が無かった。



「……ちょ、まっ……!」



何度も角度を変えて吸われる唇に戸惑っていたら、金時の指が巧みにシャツをたくし上げてくる。


突然の事態についていけない土方は焦るばかりだ。



「オイ!待てって!」



唇の隙間が開く度に土方は必死に叫ぶ。


正直言うと、こんなに激しくキスを交わす事自体馴れていない。

というか、こんな会話を交わす暇も無い位に求めた事も求められた事も無いからだ。


土方の制止の声も聞かず、金時は荒い息を溢しながら執拗に唇を重ねてくる。


金時の手が土方の肌に触れると、ゾクリと背中が粟立った。



キスを繰り返す度に土方が背にしている玄関のドアがガタガタと音を発てる。



「……、…金時ッ!」



腕に力を込めてのし掛かってくる金時の肩を押す。


すると漸く金時の身体から力が抜けて、動きが止まった。


土方は小さく安堵の息を漏らした。



「テメェ……、いきなり盛ってんじゃねぇ!」



力を込めた拳で金時の肩を殴る。

金時は土方の肩に顔を埋めたまま息を繰り返していた。



「……だろ」


「あ?」



自分の肩口から何やら金時が呟いた。



「あんな情熱的な告白されたらオスは誰だって盛るだろーがァ!」



カバッと顔を上げて叫んだ金時のあまりの迫力に圧倒された土方は目を見開き瞬きを繰り返した。



「あー!もう何だよお前、誰だよお前、何あの告白。武田鉄矢もビックリだよ」



深い溜め息を吐き出して金時は土方の体を強く抱き締める。

土方は呆気にとられていて、反応が追い付かない。



「もー……本当なんだよな?あれマジなんだよな?考えらんねぇよあんなの……マジであのままヤッちまいてぇ位にキタわ本当」


「な……!」



何度も溜め息を吐き出す金時は未だに信じられないと言いたげに問い掛けてくる。

そしてその度に土方の肩に頭を擦り付けて密着してくる。


いい加減、苦しい。



「なんだよ!部屋入るまでは不機嫌そうにしてやがったくせに!……ッ、少し離れろっ!」


「バカヤロー、二人きりになれるまで必死に我慢した俺の理性に感謝しろっつーの」



土方の言葉とは裏腹に抱き締める力を緩めない金時。

その腕から逃れようと土方は必死に抗う。



「……ッ、だからってこんな玄関先でする事無ぇだろ!早くどけ!」


「あれぇ?あんな熱烈な愛の告白しちゃったくせに今更恥ずかしいの?」



金時がニヤリと含み笑いをする。


図星を差された土方は顔に血が昇ったように真っ赤になった。




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