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□□恋人ごっこ□−November−Half@
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今日見た夢は、散々だった。




あの柔らかな銀髪に指を埋めて。



貪るようにキスを繰り返していた。




筋ばった指が自分の体を撫でて。




体を流れる汗が自分の頬に降ってくる。






『……ひじかた……』





熱を纏った甘い声で先生は自分の名前を呼んだ。



揺れる腰の動きと伴って、その声は掠れて途切れている。




自分の絶頂を呼び起こすには充分過ぎる程の官能だった。






そして、それが夢だとわかって目覚めた時の。





自己嫌悪の重さに死にたくなる。
















−−怠い……。





秋も深まり、期を熟した紅葉も盛大に赤く染まっている11月。



時折吹き抜ける北風に体がぶるりとするあたり、冬に向けての準備が着々と進んでいるのだろう。




そんな季節が冬に向かっている中で、自分の心も冷えていった。



激しい自己嫌悪に相対する体の熱は灼熱の真夏のように冷める事が無い。



それもまた、自分の心を更に冷えさせた。





先生への性欲を自覚したあの日から、押さえ込んでいた欲望が爆発したかのように、毎日毎日先生とセックスをしている夢を見る。



反射的に目覚めて、それが夢だとわかって落ち込むような安堵するようないたたまれない胸の内などお構いないしに。



自分のソレは毎回、朝起ちしている。





−−本当……死にてぇ……。





夢精しないだけまだマシだと思えてくる中坊並の盛りきった性欲が恥ずかしくて情けなくて耐えられない。



半ば涙目になってまで自己処理する毎日の日課に脳が腐っていく感覚が襲う。





−−どうにかしてくれ……。





これ以上、苦しめないでくれ。




心はそう訴えるのに。




体は確実にその行為を欲している。





ただセックスしたいだけならどうにか処理の方法は見付けられる。




なのに自分の願望はそうじゃない。





有り得ないと思うのに、自分は先生とのセックスでは女役だった。



先生に求められたいという欲求が強すぎて、聞き齧りで知っている程度の男同士のセックスで挿入する部分に先生のをくわえ込んでいた。




経験した事も無いくせにやたらと快感が襲い、永遠に繋がっていたいと夢の中の自分は感じている。





−−俺は真性だったのかよ……。





女性とのセックスなら、数は多くないなりにも経験はある。



それが気持ちが良いもので男なら誰だって嫌いじゃない。




しかも、高校生なんて頭の半分はソレしか無い位に興味津々の年頃だし。





だが、自分が求めるモノは先生との行為。




歓楽的に言えば男同士のセックス。





そんな欲求を晴らせる手段など。




存在するワケも無かった。






眠りたく無いと思いながら。




せめて、夢の中だけでも。





そう思う自分の欲望に逆らえない。






恋心だけなら可愛いものだと今なら、思う。




今の自分は確実にそんな可愛い名前の感情だけでは無い。





どろどろの欲望に支配された盛りきったガキだ。





なのに、顔にも口にも出せないその欲求を抱え込む心は。






擦り切れて限界を迎えそうになっている。






−−いっそ、殺してくれ……。






総悟にそう言えばきっと楽にしてくれる気がした。



だが、逆に苦悩し続け衰弱していく自分を嘲笑っている方が楽しいとも言いそうな気がした。





この欲望を無くす方法は無いのか。




無くせなくとも、抑える方法は無いのか。






何かに、救われたい。






でもそれも叶わぬ、欲望だ。






 
 
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