・・現代パロ・・
□■友達になってくれませんか■
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案内された奥のカウンター。
目の前は酒瓶が積まれていてキッチンとの仕切りになっている。
銀時達が座る隣はどこかの席のおやじ達の荷物で塞がれている。
故に、二人は隔離されたような格好だ。
つまり、二人っきり。
銀時の掌は汗ばんでいる。
さっきから拳を握りしめているからだろう。
−−ヤバイ……なんか緊張してる……俺……。
自分から誘ったくせに。
二人きりだというのに。
会話が、出来ない。
だって、あの11時男が隣に座ってるんだぜ!?
なんで!?てか、なんなの!?
スーツのジャケットなんか脱いじゃってワイシャツ姿なんか初めて見たけど!?
つーか、何コレ。肌すげぇ綺麗くね?睫毛なげーし……。
綺麗な指してんだよなーこいつ…煙草やたらと似合うし…この指でいつも………。
「……おぃ。」
「……え?」
いきなり呼ばれた銀時は不思議そうな顔で11時男を見る。
顔をあげると、後数センチで頭がぶつかる位にまで近付いていた。
しかも、無意識に煙草を持つ男の指を掴んでいた。
「うわっ!す、すいませんっ!!」
無意識の自分に驚いて銀時はまた過剰に反応した。
壁に頭がぶつかる。
「いてっ!!!」
後頭部を痛打した銀時は頭を抱えて叫んだ。
11時男は困ったように笑い、銀時の顔を覗き込む。
「大丈夫かよ、坂田さん。」
「…ってぇ…あ、大丈夫……」
激痛と共に銀時の耳から入ってきた言葉に、銀時はピクリと反応する。
「…なんで、名前…?」
顔をあげると、男は運ばれて来たビールを受け取りながら笑っている。
「名札してるだろ?いい加減覚えるよ。」
男は微笑みながら生ビールを一つ銀時に渡す。
銀時は茫然としながら男を見つめたままビールを受け取った。
−−名前……知ってたんだ…。
心臓がドクドク騒ぐ。
なんか、『坂田』っていう苗字がすごく素晴らしいものに感じる。
「とりあえず乾杯か?何にだかわかんねーけど。」
ビールを持ち上げてそう言う男に、銀時は口をパクパクさせながら必死に聞く。
「な、名前は!?あんたの…」
銀時の勇気を振り絞った質問に、男はあぁと小さく笑った。
「そっか、なんかずっと前から知られてる気がしてたけど知らねぇのか。」
男のその言葉に、銀時の胸が更に熱くなった。
−−こいつも、そう思ってたんだ…。
「土方。」
ゆっくりと自分のビールを銀時が持つグラスに近付ける。
「土方十四郎。よろしくな、坂田ぎんときさん。」
グラスがチンという小気味よい音を鳴らしてぶつかる。
−−土方……十四郎。
優しく微笑むその顔と、声に銀時は釘付けになってしまった。