・・金黒・・

□●愛シテ●1stContact
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いつ見上げた空も。



曇る煙りにまかれたような灰色で。



いつになったら星が見えるんだろうと思う。




いつになっても見えないのかもしれない。




自分にはこの灰色がお似合いで。



無駄に明るい地毛の髪色だけが。



星に憧れるように金色だなんて。




夜の闇に隠れたホタルだ。




俺は何がしたくてここに居る?



俺は何が欲しくてここに居る?




その答えを星に願いたいだなんて。



乙女ちっくモード全開な自分が笑える。





ただ、拾って欲しいだけなのかもしれない。



ただ、ぬくもりが欲しいだけなのかもしれない。




ただ一人に求められて。




ただ一人を愛せたのならば。





この金色は意味がある。




誰かに見付けて欲しい。



そう願って輝かせる為の金色なら。





誰かに愛して欲しい。




大切なモノを失う事に慣れすぎて。



大切なモノを得るのが怖い俺だから。




誰か一人に求められたい。




何も考えられなくなる位に。




一人を愛したい。




愛シテ




愛シテ






ずっと、求めてる。















最近の日本は腐ってる。




別に自分が素晴らしい日本人代表、などと思う気持ちはさらさら無いが、もう腐ってるという表現以外見付からなかった。




長い長期出張が終わり、漸くゆっくり出来ると引きずるような足取りで二週間ぶりに自分のマンションへと辿り着いたのに。



マンション横のゴミ捨て場は有り得ない量のゴミが散乱している。


分別もクソもあったモンじゃない。


可燃物も不燃物もごちゃまぜの袋は散乱しているし、それをカラスだか猫だかが荒らした残骸がマンションの入口まで続いている。




今は早朝の4時。



早朝といってもほぼ夜中に近い時間。
まだ近所の人間が動いている気配が無いのを見るあたり、ゴミは夜中に出されたものなのだろう。



まだ、ほの暗い色をした空にうっすらと映し出される光景が。



嫌に腹立たしくて土方は深いため息を吐いた。





最近の日本は腐ってる。





ゴミを荒らした動物達を咎めるつもりは無い。



そう追いやったのは人間達の勝手であって、荒らしたくなるようなモノをきちんと管理もせず捨てた人間が悪い。




ただ、それを見て見ぬフリをして部屋にあがるのは簡単だ。



だが、それをしたら自分の中の何かが壊れる気がした。




土方は苛々に似たため息をまた吐き出すと、手に持ったガバン二つを入口の横に投げた。



長期出張で疲れきった体。



休みを貰えるのは今日一日だけだというのに。




その始まりがマンションのゴミ掃除だなんて。




俺は運が悪い。





そう思うしか無かった。





 
 
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