・・短編・・

□◆甘い物には毒がある◆
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「どうしたんだ。悩みでもあるなら屯所の檻の中でゆっくり話を聞いてやるぞ。」


素直な心配の仕方で無い事はわかる。
最初からこいつらにそんなものは期待していない。


てか、もうどいてくれ。


「結構だ。願い下げだね。俺は忙しいんだじゃあな。」


銀時は沖田と土方を面倒臭そうにあしらって、二人から別れようとした。


ズキッ


「…っ…!!」


「おぃっ!!」


土方の肩を押し退けて前へ進もうと力を入れた瞬間、胃に激痛が走り、その場で小さく呻いた。
前屈みに倒れそうになった体を土方の肩に置いてある手に必死に力を込めて支えた。


土方が様子がおかしい銀時の肩を支える。
よく見れば顔が真っ青だ。


「…なんでも、ねぇ…」


自分を支えるように掴まれた土方の手を払い、銀時は冷や汗が垂れる顔で薄く笑った。


おぃ、おぃ、冗談じゃねえぞ。
こんな所でこんな奴らの前でぶっ倒れてたまるか。


銀時は気力を振り絞り、また歩きだそうと力を入れた。


ズキッ!!!


「…っ…!!!」


さっきよりも激しい痛みが脳から足先まで響いた。


「…おぃ!万事屋っ…!?」


今度こそ我慢出来ずに前のめりにうずくまった銀時に土方が駆け寄る。
もう我慢できる状態じゃなかった。


「やっぱりヤク切れたんじゃねぇんですかィ?」


「総悟!馬鹿言ってねぇで医者だ!」


まだ持っていたのか、ヤクの袋をぷらぷらさせながら言う沖田に土方が怒鳴る。


「医者は今日休みだって言ってたでしょうが。とりあえず近いんで屯所にでも運びますかィ?」


ほぼ意識を失っている銀時の肩を担ぎあげて沖田が言う。
土方は銀時の顔を見た。

冷や汗もそうだが、体が冷たい。

病気なのかなんなのかわからない。
自分達にこんな格好を晒しても何も言わない所を見ると、完全にグロッキーのようだ。


「…お前運んでやれ。」


ほおっておくわけにもいかない。


土方は沖田と銀時を見て、一言告げると、一人巡回へと戻った。

沖田は黙って銀時の肩を担ぎあげて支えながら歩いて行く。


土方はちらりと二人を横目で見た。
 
 
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