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□□恋人ごっこ□−September−
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「俺と付き合うか?」
夕暮れが空を紅く染める教室で、先生は冗談を言う位の軽さでそう言った。
先生は気付いていたんだ。
俺が先生を好きだって事。
「ただし……」
呆然と何も答えないでいる俺に、先生は言葉を続けた。
「卒業までな。」
そう言って、また笑った。
俺が卒業するまでの『恋人ごっこ』。
先生はそれで俺を片付けるつもりだ。
ズルイ大人が。
導いた結論。
「いいですよ。」
俺も笑った。
だって、先生が笑ってるから。
胸が痛くたって。
本当はそんなの嫌だって。
先生が俺のモノになるなら。
もう、それだけで充分だから。
「卒業まで、よろしくお願いします。」
そう言う俺を見て、先生は困った顔をした。
嫌だと俺が言うと思いましたか?
ふざけるなと否定される事を望んでましたか?
−−無駄ですよ、先生。
俺の先生への執着は。
そんな簡単なモンじゃない。
例え期間限定の『ごっこ』だとしても。
先生の特別になれるなら。
俺はなんでもする。
言った事を後悔したって遅いよ、先生……?
あんたは卒業するまでは俺のモノだ。
誰にも渡さない。
『恋人ごっこ』の間だけは。
俺を見てよ。
こんな贅沢なご褒美の延長を。
要求したりはしないから。
後、半年だけは。
俺のモンでいてよ。
『恋人ごっこ』の間は。
俺を好きになってよ。
嘘でもいいから。