光は枯れた

□出会い=運命ではない
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今日朝早く起きてみると弟のミルラがまた人間界に戻ったとの話しを聞いた。
いつものように魔法界の滞在も短かったが、今回は違った気がした。

「お前は知っておかないといけないから」

この言葉が私の中でコダマする…。
一体これから何が起ころうとしているのだろうか?
余りすっきりしない雲を眺めながら少女は思った。
「ナミカお嬢様、参りましょう」
『うん』
今日もまたタカユリ街へ仕事に行く。
さっさと用意を済ませて二人は出発した。


タカユリ街につくと大きな広場に下りた。
相変わらず人が集まる広場で子供たちも元気にはしゃいでいる。
「お嬢様、お気をつけを」
その時ナミカに小さなものが当たった。
『わっ!』
その小さなものはナミカに当たり跳ね返ってしまった。
「いたっ!」
『あ、ごめんね。大丈夫?』
とっさにナミカが手を差し延べるがその前に男の手が持ち上げてしまった。
「お嬢様お怪我は?」
『これくらい大丈夫…』
ナミカは目を丸くした。
ナミカの視線には一人の男がいたからだ。
その男がナミカに当たった子供を持ち上げていたのだ。
『ルキ…?』
その声に男は気づいて一瞬止まる。
『ナミカ様…』
二人はまた、この街で出会ったのだった。
「あ、コイツに当たって怪我しませんでしたか?大丈夫ですか?」
『あ、いえっ、大丈夫だよ!そっちの子は?』
「あ、大丈夫ですよ!これくらい!お前も男だもんな!」
ルキが子供に笑いかけながら話しかけると
「当たり前だろっ!」
と涙を堪えて子供は叫んだ。
「よしよし。母さんとこいっといで」
そう言い子供を降ろしてやると直ぐさま向こうへ駆けていった。
「すいません。こんな街なんで」
『いいえ。いい街よ』
お互い顔を合わせて笑って見せる。
するとどこからかナミカの名前を呼ぶ声が聞こえてきた。
「ナミカ様〜!こちらです」
すると目の前に現れたのはまた驚く人だった。
「お久しぶりでございます。お元気でしたか?」
『…せ、先生!?』
「ご無沙汰してます」
柔らかい笑顔で笑って見せたのはいつかにお世話になった先生。
「あの時はいきなりおそばをお離れして失礼しました。どうしても教師を辞めなければならなくなりまして…」
『いいえ。私が悪いんです!ごめんなさい!』
今にも泣きそうな顔をみたからか、先生と呼ばれた男は困りながらも笑顔を見せた。
「貴方は悪くありません。悪いのは貴方を城に閉じ込めた親なのですから…おっと失礼しました」
その言葉を聞いてナミカは目を丸くした。
『わかって…らっしゃったんですね…』
「えぇ、息子から」
ナミカはルキをみるとルキは笑顔を見せた。
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