REBORN短編集
□拍手お礼
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『ラーンボ』
ガバッと、勢いよくランボに抱きつく
うわっとよろめきながらも、彼は何処か嬉しそうだ
「やれやれ…ビックリしましたよ」
『ねえねえ、あたしにも一粒頂戴?』
彼が手にしている1房の葡萄…デラウェアだろうか…小粒でちょっと赤みがかったその葡萄を一粒ちぎっては吸い上げ、また一粒ちぎっては吸い上げを繰り返している
グラスに山積みになりつつある葡萄の皮を入れながら、マスカットの綺麗な瞳にあたしの顔が映る
「いいですよ。では、目を瞑ってもらいましょうか」
『…え、な、何で』
「出来なきゃ、あげませんよ?」
『…わ、分かったよ』
意味が分からない。
目なんか閉じる必要ないじゃないか
葡萄を食べるだけなのに…
ただ一粒頂戴っておねだりしただけなのに
それでも彼の綺麗だけど何処か意地悪っぽい笑みに逆らえず、目を閉じてしまうけど
『…んっ!?…ふ、ぅう??』
唇に触れたのは
葡萄ではなく…甘酸っぱいランボの唇
後頭部をしっかり押さえられ、鼻だけで呼吸が出来なくて
苦しくて唇を開けば、転がり込んでくる一粒の葡萄
咥内に放り込まれ、ペロリと唇を舐められて…
背筋がゾクリとした
「おや?どうして涙目になっているんです?そんなに葡萄が食べたかったんですか」
『…バカ。もう要らない』
どうぞ、と差し出される1房の葡萄に目もくれず
ただただ俯きながら、モグモグと咥内の葡萄を噛み締めるしかなかった