真選組

□抱き締めてハニー
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沖田は面白くなかった。
折角の休日、近藤を誘いお茶屋で過ごしていたらなんの因果か、万事屋の新八と神楽と鉢合わせてしまい、神楽が近藤に「奢るアル!」と催促したら、優しくて姉御肌の近藤は太陽みたいニカッと笑い了承したのだ。
その光景を睨んでいた沖田に新八は慌てて「すみません」と詫びた為、沖田はため息ひとつ付き横にずれた。
新八、神楽、近藤、沖田の順に横に並び、神楽は次々と団子を腹に収めていく。

「神楽ちゃん、少しは遠慮しなよ」
「いいって、新八ちゃん、子供は元気よく遊んで、食べて、寝るのがお仕事だ。じゃないと、立派に育たないからな。だから新八ちゃんも遠慮せず食べなさい」
「は、はい。ありがとうございます」
「育たない…」

ジッと神楽の視線が近藤に注がれる。
正しくは近藤の胸元なのだが。
着物の合わせ目からは、こぼれ落ちそうなばかりの張りのある豊満な胸。

「?神楽ちゃん?」
「チャイナさん?」

不思議そうに三人が首を傾げると。
―――ムニュ
神楽が突然に近藤の胸に顔を埋めた。
ビキッと沖田の握られていた湯飲みにヒビが入り、その光景を見た新八は青ざめる。

「か、神楽ちゃん!?」
「ゴリもたくさん食べたからこんな立派になったアルか?」
「あ?あぁ〜、胸はどうかな?」
「チャイナぁ、テメェ…」

あっけらかんと答える近藤の隣で沖田が刀に手をやる。
女同士のじゃれ合いとはいえ、近藤に触れられるのは耐えきれない、所謂男の嫉妬だ。

「…なんだか、マミーみたいアル…」

ポツリと神楽が零した言葉に沖田と新八の動きが止まる。
近藤は、少し目を見開いた後、慈愛に満ちた表情を浮かべ神楽の頭をそっと撫でてやる。
神楽が胸にすり寄る。
その光景を見た沖田は、小さく小さく舌打ちして刀から手を離す。
神楽が感じている思いは幼い頃、自身も近藤に抱きしめられた時思ったものだ。
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