‡豊玉発句集‡

□memory(制作中)
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母親とふたり、新しい家に足を踏み入れる。今までとは違う環境…ここに今から自分が住むと思うと緊張とワクワクで複雑な気持ちだった。
自分と母の荷物は引っ越し業者の人たちが全部運んでくれたおかげで、特になにをすることもなくすごく楽で早めに済んでしまった。業者の人たちが帰った後、リビングでは3人でお茶を飲みながらひと息ついていた。

「もう終わっちゃったわ」

「そうだね。一くん疲れなかったかい」

「いいえ」

「そういえばまだ、一くんにはうちの息子を紹介していなかったね」

「あらっ、ほんとね。千景君はいまどこにいるの?」

「…千景」

「部屋にいると思うんだが…ちょっと呼んでくる」

そういい父親が席を立ち自分の息子がいるであろう部屋へ向かう。

千景…俺はその名前に覚えがあった。自分の天敵とも言える相手の名前。
よくよく考えれば新しい父親の名字は“風間”そして、息子の名前は千景。

そうなれば必然的に息子のフルネームは風間千景となる。

自分の所属する風紀委員会と対立する生徒会役員…その会長の名前…それが風間千景である。
そして俺は対立している風紀委員の委員長をしている。
風間は風紀委員を良く思っておらず
、風紀委員を無くそうと企んでいると言う。風間曰わく、風紀委員が生徒を纏めているのが気に入らないらしい。
だが、それは生徒会役員である不知火は生徒に関して我関せずの態度であり…寧ろ、不知火自身があまり校則を守らないのである。そんな中、生徒会の良心である天霧さんは校則をきっちり守るが会長である風間の突発的な思いつきに付き合わされたりと会長のおもりで忙しい為、他の生徒のことまで手がまわらないと聞く。そして、生徒会長である風間千景は自分が楽しければ良い…という信念で生徒を纏めるどころかかき回すだけかき回し、飽き足ら投げ出すとやりたい放題な性格なのである。
そんな3人で成り立っている生徒会が生徒を纏めることなどできるはずもなく、だから風紀委員が生徒を纏め風紀を正しているのである。
なのに、それに納得していない生徒会長。ならお前がしっかりしろと俺は何回も会長に投げ掛けてきた。
そのたびに、俺のどこがしっかりしていないんだ?とあの男は言いはるんだ。
そんな奴が兄になるなんて…

「いやっ…同姓同名ということも…」

「さっきから、なにブツブツいってるのかしらこの子は?」
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