‡豊玉発句集‡
□memory(制作中)
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リビングを出る際に不安気な表情をしている母親と一瞬目が合う。しかし母親のことは父親に任せ、自分は2階にある風間の部屋を目指すことにした。
2階に上がると迷うことなく風間の部屋の前まで行く。
そういえば俺の部屋は風間の隣なんだなと思いながらチラっと自身の部屋を見る。それから再度、風間の部屋を見ると溜め息がでてきた。
「最初からこんな状態では先がおもいやられるな」
「風間…」
一応、ドアをノックし声をかけてみるも中からの反応はなく、もう一度ノックをする。だが、反応はやはり無く…風間のその反応にあまり気が長くはない俺の苛立ちはピークに達した。
「開けるぞ風間」
相手の返事を待たずに俺は風間の部屋のドアを開ける。風間は俺が入ってきたというのに慌てることなく、ベッドに腰掛けドアの所に立っている俺を睨みつけていた。
「…なんの用だ」
「一体お前は何がしたい」
入り口に立っていた俺は部屋の中に入ると風間に近づく。
「何がしたいとはどういう意味だ」
風間の目の前まで来るとベッドに座っている風間を見下ろす。すると必然的に風間は俺を見上げることとなる…上目遣いで俺をみつめる風間。その表情に迂闊にも胸の高鳴りを感じ、そしてそのことに俺は動揺した。