‡豊玉発句集‡

□jealousy
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俺にはかわいくて仕方ねぇ姫さんがいる。

だからと言って千鶴のことじゃねぇ。千鶴も可愛いが妹分としか思えない。

俺の可愛い姫さんというのは銀糸の煌びやかな髪に透けるような白い肌、一度見たら忘れられない血色の瞳。そして、どんな女よりも綺麗な顔。

こんな風に他人に紹介すれば、どんな絶世の美女なんだ!紹介しろっと新八あたりが騒ぎそうだが紹介する気なんてさらさらない。
まぁ、自慢はしたくなるが…。

だが、俺が姫さんと紹介したからと言って、誰も其奴が女なんて言っていねぇ。 彼奴は歴とした男だ。確かに体も細く顔も綺麗だが、抱き締めた時の女特有の柔らかさなんて皆無だ。
抱き締める度に此奴は男なんだと改めて思うが、嫌悪感なんて抱いたことねぇ。寧ろ、幸福感なら抱いているが。
だからと言って、衆道に走ったわけじゃない。前みたいに普通に女を好きになり恋情だって抱くことは出来るだろうよ。だけど、今は此奴以外考えらんねぇよ。
そんだけ愛してんだ。
初めて見たときから気になり、いつも彼奴の顔が勝手に浮かぶようになった。
あまりにも呆っとしていて平助にあきれられたりもしてたな。
この気持ちが恋情と気付いてからは俺の行動は早かった。
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