‡豊玉発句集‡

□jealousy
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彼奴の居場所を探し当て毎日のように付き合ってくれと口説きに言った。
最初のうちは馬鹿にしたような目で寝言は寝て言えや、それ以上からかうならお前のことを斬り殺すぞやら言われ拒絶されていたが、何日も通う内に彼奴の中でも少し気持ちに変化が表れ始め、最終的には俺と付き合うことを了承した。

いまだから思うが、もしかしたら最初から彼奴自身少しは俺に興味を抱いていたんじゃないかと…。でなければ、一番始めに口説きに行ったときに俺のことを斬って殺していたんじゃねぇか…って、彼奴の性格上、気はなげぇ方じゃねぇから、煩わしい奴はすぐに斬っちまうし…。 まぁ、俺の良いように考えているだけかもしんねぇけどよ。 って、前置きが長くなっちまったが…そんな愛する姫さんと今日はふたりで島原まで飲みに来てんだけどよ。
なんだかさっきから不機嫌なんだよなぁ。

「……風間」

先程まで俺と風間の間には人ひとり分の間が空いていた。
俺はその間がもどかしく思い、それを埋めるように隙間無く風間の隣に座り直す。
それに対して風間は身じろぎ又、間を開けようとしたがそれよりも先に俺は風間の細い腰に手をまわし身動きを取れないようにしてやった。
「風間…なにか不満があるんだったら言ってくんねぇか?」

「…………」

風間は此方に目線を合わせようとせず、顔を下げ杯ばかりを見ている。

「俺のほうを見てくんねぇか…このままだったら杯にまで嫉妬しちまうよ」

その言葉に風間は咄嗟に顔を上げ俺を睨みつけてくる。

「おっ」

此方に顔を向けてもらえたのは嬉しいがその顔は先程より不機嫌そうだ。
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