青い春に伸びる影
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迷信だってわかってる
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アトラクションを制覇し、キャラクターグッズを買い、楽しい時間はあっという間で、空は暗くなり始め、あたりは眩しい電灯が光っている。涼華はそれを見て、遊弥の手を引いた。
「ねえ、見て。キレイでしょ?ここのイルミネーション、すごく人気なんだよ」
観覧車が、ネオンによって夜空に大輪を描いている。その他の乗り物や、昼間にショーをしていたステージも、色々な眩しい光によって彩られている。
「最後にさ、観覧車だけ乗って帰ろうよ。きっと頂上まで行ったら、景色がキレイだよ」
「……………」
景色に見とれていた遊弥は、うっとりとした様子で言う涼華に視線を移し、小さく頷いた。それを見た涼華は嬉しそうに笑って、ぐいぐいと遊弥の手を引いた。普段は人を小馬鹿にして、人を食ったような態度なのに、今の涼華の無邪気な姿は、年相応の女の子そのもので、普段もそれなら可愛いのに、もったいないなと遊弥は思う。
口には出さないつもりだが。
「行こ」
「……ん」
涼華の手を握り、控え目に後ろを歩いていく。今日一日で、この立ち位置に違和感が無くなってしまった。
ゴンドラは天井、床、扉までが透明で、どこから見ても景色が見える最高のものだった。限定4つだけ回っているそれは、人気ではあったが、運良く乗ることができた。
「うわぁ、キレイ!下も見えちゃうんだ、ちょっとスリリング!」
「上から見るとまた違うな。……キレイ……」
窓に張り付くようにして外を眺める遊弥に、涼華は胸が熱くなった。遊弥の言動一つ一つに、こんなにも心踊らされる。
(…あぁ、マジでゆーちゃんのこと、好きなんだなぁ)
涼華は携帯電話を取り出すと、カメラモードを切り替えて、遊弥を手招いた。
「頂上行ったらさ、写メ撮ろうよ。記念にさ」
「でも、さ………」
しかし、遊弥は困ったように目を泳がせた。疑問に思って「どうして?」と尋ねると、遊弥は心配そうに言った。
「…傾いたら危なくねぇか?」
「は………」
思わず涼華はきょとんとしてしまう。野獣とも呼ばれ、女子高生最強の遊弥が、まさかそんな子供のようなことを言うとは。
涼華は笑った。
「傾かないから!ほら、早くこっちに」
恐る恐るこちらに移動してくる遊弥の手を取り、隣に座らせた涼華は、携帯電話を構える。
「ほら、撮るよ?」
「お、おぅ…」
カメラのシャッターボタンを押す瞬間、涼華は言った。
「ねぇ、こっち向いて」
「…え?」
不思議そうにこちらに顔を向けた遊弥の唇に、涼華は自分のそれを押しつけた。
機械の音が鳴り、一瞬の出来事ではあったが、それが携帯電話の画像フォルダに保存された。
「お、おおおお前っ……!」
慌てふためく遊弥に、涼華は悪戯っぽく微笑んでみせた。
「ごちそーさまっ♪」
そして、涼華は火照った顔を押さえ付けた。
(暗くて良かった。こんな顔見せられないもん)
観覧車の頂上でキスしたら、
(両思いになれるって、言うよね?)
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GWデート編、終了です。
次回からは学校祭編へ突入します。
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