青い春に伸びる影

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やっぱり後悔した!



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ステージはクラス対抗ファッションショーで大いに盛り上がっていた。開催が懸念された学校祭は、無事こうして生徒達の手によって例年通り行われることになった。
ステージの上には、果たしてどうやって作ったのか、純白のウェディングドレスを着た生徒が歩いている。

舞台裏では、涼華がひたすら遊弥の髪を直したり、帯の曲がりを修正したりと忙しそうにしていた。それを見ていることしか出来ずに、どうしたら良いのかわからずにされるがままになっている遊弥に、涼華は言った。

「落ち着いて、ステージの上をぐるっと歩いてくるだけで良いからね。間違っても足を上げたり流し目なんてしちゃダメ!皆、ゆーちゃんの色気にやられちゃうから!」
「何言ってんだよ、バカか!」


真顔で言ってのける涼華に、遊弥は思わず小声で怒鳴った。恥ずかしいことを、さらりと何でもない事のように口に出す涼華の気が知れないと心底思う。
その時、二人に声がかかった。

「そろそろ出番ですー」
「はーい!よし、頑張ってね、ゆーちゃん」

ステージに出る直前、涼華は遊弥の手の甲にキスを一つ落とした。余りにも自然な動作だったため、かなり恥ずかしさがこみあげてきて顔が熱くなる。
半ば自棄になってステージに足を踏みだすと、わあっと会場が沸いた。

遊弥のクラスのテーマは夏祭り。そのため、テーマに沿った服装をさせられている。
生地は黄色く、金魚の模様が入っており、帯はシンプルな黒いもので、ウエストを際立たせている。裾は短くスカートのように加工されていて、ちらりと覗いた黒いレースから、健康的に日焼けした遊弥の長い脚が伸びている。履き物もヒールが低いもので、長身の遊弥を威圧的に見せない工夫がされていた。

(落ち着いて、ステージの上をぐるっと歩いてくるだけ…)

衣装に関する説明文が読まれている間、遊弥は涼華に言われた通りステージをぐるりと歩き回った。「おぉっ」と歓声のようなものが響く。

「て言うか野獣ってこんな美人だったっけ?」
「モデル並みじゃん」

舞台裏でこそこそとされている会話に、涼華は焦りを感じた。

(え?皆もしかして、ゆーちゃんの魅力に気付き始めちゃってる?)

何事もなく戻ってきた遊弥を見るなり、涼華は彼女に飛び付き、叫んだ。






「早く脱いで!」
(はぁっ!?いきなり何だよ?)
(良いから早く!ゆーちゃんに皆惚れちゃうから!)






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相変わらず残念な思考回路の美女。ようやく学祭入りましたー…








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