青い春に伸びる影

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海へ行こうよ



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「えっ?」

涼華は思わず聞き返していた。受話器越しには、ぶっきらぼうに言葉を吐き捨てる遊弥の声。

「夏休みだし、海…行かないか?」

頭の中で、彼女の言っていることを整理する。涼華は嬉しくて舞い上がる気持ちを押さえようと、いつものように軽口を叩いた。

「なに、デートのお誘い?」
「…まぁ…そんなところだ…」
「………………」

――あのゆーちゃんが、私に、デートのお誘い!?

夢なんじゃなかろうか、涼華は頬をつねって見る。痛かった。これは現実のようだ。

「行く!今からでも行くよ!」

立ち上がった涼華は、いつ着るかもわからずに放置していた水着を引っ張り出していた。



近くに海が無く、電車での移動のあと、バスで乗り継いで行くため、二人は駅で待ち合わせをした。ゴールデンウィーク以来のデートに、涼華の胸はうきうきと高鳴る。

「お待たせ!」

駅に着くと、すでに遊弥が待っててくれていた。デニムのショートパンツから小麦色の長い脚が伸びていて、涼華は頬擦りしたくなる衝動を抑える。
ポリポリと、照れ臭そうに頬を掻いた遊弥が、普段からは想像もつかないことを口走った。

「…髪、可愛いな」
「ほ、ホントッ!?えへへ、ありがとう。ゆーちゃんも相変わらずエロティックね!二人きりだったら押し倒してたわ!」
「……何言ってんだバカ」

嬉しさのあまりどもってしまった涼華。だが、相変わらずの変態発言でツッコミを入れられてしまう。本当は、Tシャツの薄い布地を押し上げる遊弥の豊満な胸に顔を押し付けたかったのだが、流石に駅ということもあり、自重した。
その時、遊弥の震える声が降ってきた。

「こ、今度は……」
「?」
「アタシが案内するから…」

そう言って、涼華の手を取り、グイグイと歩き始めた遊弥に、涼華は驚きと嬉しさとその他諸々の感情が渦巻いて、パンクしそうになっていた。

珍しく電車は空いていて、スムーズに移動が済む。目的の駅で降りてから、またバスで移動する。涼華はバスの中で景色を見ながら言った。

「私、海で泳ぐの初めてなの。この辺りも、来たことないし…」
「そうか。まぁ、遠いしな……」
「今度から、毎年連れてってよ」
「気が向いたらな」

他愛無い会話が、車内で交わされていく。あまり人が来ない海辺なのか、バスを降りてからもがらんとしていた。
砂浜を歩きながら、遊弥が口を開く。

「ここ、滅多に人も来ないし、綺麗だからよく来るんだ。泳いでも何も言われないし、気持ちいし……」
「ゆーちゃんの、秘密の場所?」
「…そうかもな」

涼華の質問に、穏やかな笑顔を浮かべながら遊弥は答えた。その言葉に、涼華は顔を綻ばせる。

「今日から、ここもゆーちゃんと私の秘密の場所だね!」
「…………」

ぽかん、と涼華を見返していた遊弥だったが、やがてふわりと微笑んで、頷いた。涼華はすかさずカメラを構える。

「!」
「ゲキシャしてやったわ!」

キャイキャイ騒ぎながら、涼華はポイポイと服を脱ぎ捨てる。あらかじめ水着を着ていたらしい。

「ほらっ、ゆーちゃんも!」
「わ、わかったから脱がすな!」

涼華は遊弥のTシャツの中に手を突っ込んで、「生おっぱい!」と叫びながらまさぐる。顔を真っ赤にした遊弥は素早く水着に着替え、そんな彼女を追い掛け回した。
涼華は笑う。

「ねぇ、あれみたい!キャッキャウフフごっこ」
「何だそりゃ」
「捕まえてごらんなさーい、ってやつ」
「…………」

呆れたような表情の遊弥に、涼華はニヤリと口角を吊り上げた。

「!?」

そのまま遊弥の手を引いて、海の中へと引きずり込む。バシャバシャと水音がして、一瞬で水浸しになった。
遊弥はそのまま海ですいすいと泳ぎ始め、岸辺に居る涼華を置いていってしまう。

「ちょ、待ってよ〜!」
「知るか」

涼華も遊弥に倣って泳ぐ。運動はわりと得意なのだ。
涼華は楽しそうな様子の遊弥を見て、目を丸くした。こんなに笑顔を見せる彼女は珍しいし、何より……

――可愛いな、ゆーちゃん!

にやけてしまう。
こんな彼女が見れるなら、海とか川とか森とか、アウトドアにも手を出そうかな!


潮風ロマンス
(夜は花火をしようよ)




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夏休みですね^^
私は部活にボランティアに追われてます←
来月からは少しゆっくりできる……かな?

この二人、イチャイチャしすぎる…!!







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