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□各話後日談
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僕らの日常

「ふっざけんなァァア!!!」

耳を突き刺すような叫び声が響いた。自分で言うのも何だけど、これはあたしの声だ。

ツッコミ隊長はあたしだから、こういったふざけたものに真っ先に反応しなくてはならないのだが、これは無い。

「そんな大きな声出さないでよ。可愛いでしょ?」

目の前で、そんなことを言いながらニコニコしてるのは、何時だったか、一緒に動物園に行った事のある、赤坂麗。

彼女がただ部室の前で笑顔で立っているだけなら良い。むしろ大歓迎ですらあるのかもしれないが、今は違う。



その腕には、リアルなゴリラが居るのだ。



動物園でもグッズを買い占めるほどゴリラが好きな彼女は、今、リアルゴリラを嬉しそうに抱き抱え、あろうことか日曜日の人気の無い学校にやってきて、自慢げにそれをあたし達に見せびらかしている。

「パパが買ってくれたんだよ♪その代わり大事に育てなさいってプロの飼育員も雇ったし、心配要らないんだけどね〜★」

そんなことは聞いてないのだが、彼女の幸せそうな表情を見たら、追い返す気も失せてしまう。

「……取り敢えず入って。お茶かなんか飲もう」

あたしはそう言いながら、後ろで棒立ちになっている五月女にお茶を頼んだ。


本郷先輩に言わせれば、こういった感じで一度依頼をしてきた客が部室を訪れたりすることは珍しくないらしいが、まさかリアルゴリラが来るとは思いもしなかったようで、さすがの先輩も暫く固まっていた。

「エヘヘ、お邪魔します♪」

麗が嬉しそうに微笑む。

そんな顔を見ていると、この部活もなかなかやりがいがあるんじゃないかなと、そう思えてくる。


「じゃあ、明衣にはバナナね♪」

「あたしは人間だからね!?確かに同じ霊長目だけども!」


日曜日だってのに、学校に来なきゃ行けないのはアレだけど、




こういうのも悪くない




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二億円の少女後日談です←
結局ゴリラを買ってしまった麗と、それに驚きを隠せないが、微笑ましく思う部員たち。







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