□ナルト女難?
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B女の子の必需品
サクラへ熱いコーヒーを用意してカップ麺の横に置くと、自分はカップ麺の残りを片付けようとベッドに座りズルズルと啜る。
「で、何の用事だってば?」
咀嚼しながらの不明瞭な声で問えば、サクラは吐息を一つ漏らした。
「女の子の必需品を持ってきたの」
「必需品?」
自分の周囲の女の子を一人一人思い浮かべてみるが、『鈍い』『天然』『無神経』の噂名高いうずまきナルト、とんと思い当たるモノが無い。
「なんだってばよ」
予想は付いていたので、そこはスルーする事にする。
手にした紙袋を開いて中身を取り出して見せれば、如何にモノを知らないナルトと云えどそれが何かは分かる。
「オレが付けるの?!そんなモン…」
真っ赤になって怒鳴ってみるものの、その声に怒気は無い。 ただの照れ隠しだろう。
サクラの手の中にあるのは、女性用下着…つまりは『ブラジャー』というものだ。
「ノーブラで動き回ると痛いし、第一アンダーに擦れて違和感無い?」
「……ムズムズする……」
「ほらみなさい、そのまま任務なんかしたら気になってミスするわよ」
女の子の先輩に云われれば、説得力も倍増だ。
ナルト自身、今もアンダーの網シャツに乳首が擦れて気にはなっていたのだ。
カップ麺も途中で止めて、テーブルに置いて悩む。
今は女の子の姿をしていても、自分は男だと声を大にして云いたい。 男がこんなモノできるかーーーっ……と心の叫びは、あくまで心の中だけで木霊した。
「ほら、付け方教えたげるから、アンダー脱ぎなさいよ」
「あっ、あっ、え…っ?」
反論を唱える隙も無く、サクラが近寄って来てアンダーの襟首を掴んで引っ張る。
これが本来の男女の姿だったら、サクラがナルトを襲う図になるだろうが、今現在ビジュアル的には立派な百合の世界だ。
トランクス一枚になったナルトの標準値以上の胸を再度見て、サクラも幾度目かの嫉妬に燃える。
「まったくっ!」
文句を云いつつも、ピンクのシンプルなデザインのブラの紐をナルトの肩に掛けた。
「後のホックに手届く?…意外と固い身体ね…サイズは計った通りだから…って、キツイ?!我慢なさい!…っ前に屈んでカップに…あああーーっ腹立つったら……」
Dカップでも些かきつそうな胸の谷間に、サクラも切れる寸前だ。
一体何を食べたら、こんな胸に――え?ラーメン?………聞いた私が馬鹿でした。
ぶつぶつ云いながらも、装着完了したブラを満足そうに見た。
「サクラちゃん……キツイよ、苦しいってば…」
「家の中では外していいから、任務の時位はしときなさい、後悔するわよ」
何で?――と、聞きたいけど、止めといた。 また殴られそうな気もしたし。
ナルトは大きくため息を付いて、自分の胸を見下ろす。 女の子って大変だってばよ……
「明日はヤマト隊長と二人で任務でしょ?事情は話しとくけど、気を付けてね」
何に?――と、聞いたらやっぱ殴られるのかな……
サクラが帰った後、妙に疲れて、歯を磨いてさっさとベッドに潜り込んだ。
カカシの枕を抱きつつ眠りについた。
無意識にブラを外して、ベッドの下に落とした。
【続く】