□ナルト女難?
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Aバカップルのお宅訪問
サクラにシコタマ殴られた頬を押さえながら家に戻ったのは陽も昏れかかった夕方。
そういえば昨日から任務で出かけたカカシは、明日の夕方までは帰ってこない事を思い出す。
一人分のメシを作るのも面倒なので、ベッドの下に隠してあったカップ麺ですます事にした。
「カカシ先生がいると食わしてもらえねーもんな」
久し振りのカップ麺に小躍りしつつキッチンに向かう。
ヤカンで湯を沸かしてる間、ジャージを脱ぎ捨てトランクスとアンダーの網シャツだけの身軽な格好になった。
「…なんか、胸がムズムズするってば…」
カカシが読書用に持ち込んだソファーで胡座をかいてラーメンをすすっていると、ドアを叩く音がした。
ふと、カカシが戻って来たのかと思ったが、ドアから入って来る事など稀な上、ノックなどしないか…と思い直し、ナルトはラーメンを持ったまま玄関へと歩を進める。
「誰だってば?」
外の気配に声をかけながらドアを開ければ、そこにはサクラが立っていた。
ナルトのだらしない格好に眉を顰めながら、サクラは溜息を付く。
「仮にも女の子なんだから、ちゃんとパジャマなりジャージなり着なさいよ」
「えー、暑いってば……」
それに女の子じゃ無いし――と反論すれば、サクラの眉間のシワがもう一本増えた。
「そんなデカイ胸揺らしながら云うな!…腹立つわねっ」
病院の診察室で身体の変化の具合を調べる際、素っ裸にして見ているのだ。 Cカップ……いや、Dカップはある(綱手程では無いが)胸は、サクラの嫉妬を掻たてた。
中身が男であろうと、今の身体では後々不自由するだろうと思って差し入れを持って来たサクラとしては、このまま帰ってやろうかとも思う。
「とりあえず、お邪魔するわよ」
ナルトの返事も聞かずに、サクラは靴を脱ぎ上がり込んだ。
小さな頃からサクラには同僚以上の感情を持つナルトに断る理由も無く、『うん…散らかってるけど…』と部屋へ招いた。
ドアとキッチンの向こうには、目隠し用なのか簡素な衝立てがあり、その向こうにはソファーとベッド――考えたく無いが、男二人で寝ているという然程大きくないベッドに並ぶ二つの枕が視界に入った瞬間、暴れたい衝動に駆られた。
こちとら彼氏もいないというのに……
拳を握り怒りを鎮めようと、二つ三つと深呼吸を繰り返す。
ソファー横の小さなテーブルにラーメンを置き、来客用のカップにお茶を入れてくれているナルトの様子に、怒りを納めソファーに腰を下ろした。
【続く】