□続:ナルト女難?
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B綱手帰還
バタバタと忙しない足音と共に、愛弟子の怒鳴り声が近付いて来るのに気付き、綱手は目の前のシズネと目を見合わせた。
此処は確か忍の隠れ里だったと思うが、こんな騒々しい忍がいただろうか――と、現実逃避してみるものの、心当たりの下忍一人の面影が綱手を現実に引き戻した。
走るな!≠ニサクラの怒声と共に派手な音をたてて執務室のドアに何かがぶち当たる。
おおかたサクラに殴られ、ドアに吹っ飛ばされたのだろう。
静かになった外の様子を無言のまま伺うと、コツコツとノックがありサクラが顔を覗かせた。
「綱手様、少しよろしいでしょうか?」
「ああ、…もしかしなくともナルトか?」
綱手とシズネが苦笑しながら、小さく吐息を漏らす。
サクラも吊られて笑うと、背後から「笑うなってばよ」などと怒っているナルトの声が聞こえた。
ナルトが殴られた頬を押さえたまま、綱手に事のあらましを話す。
「治してくれよ、ばーちゃん…このままじゃ任務でも修行でも邪魔で仕方ないってばよ」
殴られて腫れているのか、ただの膨れっ面なのか、口を尖らせて横柄な頼み事をしたナルトに、今度はサクラの拳骨が脳天に降って来た。
この里の長たる綱手に対する言葉遣いを咎めたのか、実に羨ましい悩みを垂れ流す元男に対する怒りかは分からないが。
「直ぐにでも調べてやりたいが、暫し待て」
他里に木ノ葉の忍を纏まった人数送り込む段取りをつける為に一時戻ってきている綱手に、ナルトの変化の印を解読してやる暇は無かった。
掻い摘んで状況を説明してやれば、ナルトも無理は云えず「待つって、何時頃まで?」と幾分小さな声で問う。
何時とははっきり云えない綱手は、曖昧に返事を濁し、「それより…」とナルトの身体を上から下まで見詰める。
「今のソレは、男に変化してるのか?」
「そうだってば、胸が腫れてると服に擦れて痛いし、揺れて痛いし…」
「当分そのまま変化していろ、女になったお前を見て狼になる男もいるからな」
誰とは云わないが、誰の事かは此処にいる者には丸分かりである――いや、ナルト一人意味が分からなかったらしく、小首を傾げていた。
【続く】