□続:ナルト女難?
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C乙女達の会話
アカデミーからの帰り道。
帰宅するサクラと歩きながら、ナルトは後頭部で両手を組んで暮れかけた空を見上げて溜息を付いた。
「結局、元の身体に戻れなかったってばよ…」
「今の里の状況を聞くと、無理ないけどね…」
サクラも苦笑しながら、胸の前で腕を組む。
「さっきの、綱手様の話だけど……」
サクラの聞いた話によると、他里に連れて行くメンツはできるだけ名の知れた上級の忍を連れて行きたいらしいのだ。
そこには各里の様々な思惑が絡み、こんな時にこそ里の戦力を誇示したい里長の自己顕示がまざまざと見えるようだった。
見た目が若いとはいえ、綱手も立派な里長として名の知れた忍。 それなりに虚栄心は持ち合わせているのだ。
「下忍のオレなんて、お呼びじゃないって事?」
口元をアヒルの様に突き出して、不機嫌な内心を隠そうともせずにナルトは呟いた。
「ま、そうね。中忍の私も然り…」
「じゃあ、カカシ先生もその任務に連れて行くって事?」
「それが、そうもいかないみたい」
え?…と、目を見開いてサクラに向き直るナルトに、サクラも少し肩を竦めて見せた。
「今の任務がまだ長引きそうなんで、その任務に間に合わないみたい」
そっか、と、ナルトも納得する。 いくら重要な任務だとはいえ、今着手している任務を放り投げて帰里する訳にはいくまい。
「カカシ先生も、大変だってばよ」
ナルトの言葉以上に、サクラはカカシに同情を覚えた。
今の任務は、ナルトからカカシを長期に引き離す為に、シズネと計ってぶつけたものである。
そして、綱手がカカシを他里に連れて行きたいのも、他里へのお披露目以上に、ナルトからカカシを離したいというのが一番大きいところだ。
サクラ以上に、綱手もナルトには甘い人物に違いない。
そんな周囲の想いはさておき、ナルトの心はカカシに会えない寂しさに沈んでいった。
【続く】