□砂の嵐
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任務も比較的早く終える事ができ、明日は非番という事で、ナルトも明日は何をしようかと思いを廻らす。

買い置きのカップラーメンがあと三つしかないし…買い物に行こうか。

修行部屋が手の付けられない散らかり様だし、片付けに費やすか。

カカシの解散の言葉を聞いて、肩の力を抜いた。

「ナルト…」

声を掛けてきたカカシに、ナルトは振り返った。 カカシの肩に留まっている小鳥が、肩から飛び立つ。 

「綱手様からの呼び出しが来てるよ…」




任務報告書を提出するために火影の元に行くというカカシに、ナルトもついでに付いて来た。

火影の執務室前には、他所の忍がウジャウジャと(7人)いて、物々しいことこの上ない。 ちょっとの事では驚かないカカシですら、何事かと目を見開いていた。

「なんだってばよ、こいつら……」

額当てを見れば、砂隠れの里の忍と知れる。

ナルトはその中に見知った一人を見つけ、駆け寄った。

「よう、カンクロウじゃん……何しに来たよ…」

「うずまきナルト…今回は……って……おまえ……」

傀儡使いのカンクロウは、他の忍とは違った一種独特な忍装束を着ているだけに直ぐに彼と分かった。 が、ナルトが話しかけているのは、カンクロウの背負った傀儡にだった。

布でグルグル巻きの傀儡の髪の毛をツンツン引っ張りながら「出て来いよ」などとボケているナルトに、カンクロウはガックリと肩を落とした。

「オレがいつもそっちにいると思ってるのか? うずまきよ……」

「え?違うの? …今日はこっちが本物?」

「いつもこっちが本物だっての」

悪い悪いと笑うナルトに、カンクロウも苦笑している。

以前は敵として戦い、同盟を組んでからは幾度か助けたり助けられたり―――だが、ナルトはそんな昔のわだかまりなぞ気にする様子も無く、接してくる。

カンクロウも、昔を気にするのがバカらしくなってきた。

「今日は風影様の護衛で来てるんだ、世話になる……」

「世話…?……まあ、いいや、風影っつうと我愛羅だな、綱手のばあちゃんと茶ぁでもしてるんか?」

自由奔放を地でいくナルトは、火影の執務室をノックも無く入っていく。



「我愛羅、来てるって?!」

挨拶抜き、開口一番我愛羅を呼んで部屋に乱入してきたナルトを、綱手は眉を顰めて溜息を一つつく。

「忍術と一緒に、礼儀ってものも教えねばならんかったな……」

「なんだってばよ、それ……それより我愛羅は?」

部屋の端に設えてあるソファで、人影が動く。 そちらを見やれば、以前よりずっと穏やかな気を纏う我愛羅がいた。

「久しぶり〜どうしたよ、今日は……綱手のばあちゃんと世間話?」

「風影殿は、アカデミー(忍者学校)の交換留学の話で見えている…」

背後から綱手が説明してくれた。

「交換留学?…へぇ〜面白そう…」

「おまえも行ってみるか?ナルト」

「オレはもうアカデミーにゃ行ってねーっての」

「……ナルト……おまえなら、いつでも……」

我愛羅が躊躇いがちに云い慣れぬ言葉を紡ぎ、視線を逸らす。

きょとんと目を見開いたナルトも、にんまりと相好を崩しニシシと笑った。

「そこでだ―――」

綱手の提案に、ナルトは驚きつつも喜んで賛成を唱えた。



我愛羅は珍しい事に、口元に笑みを作った。








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