倉庫

□秘密の仕事
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パァンッ

乾いた銃声が薄暗く埃臭い倉庫に響く。

「若。」
「なんや、もう殺ってん?」
「………はい」

自分と同じく黒のスーツを着た男が緊張した声で言った。

「……ですが、仲間がまだ潜んでます…」
「…クスッ」
「若?」

だめや。アホらしくて笑てしもうた。
チャッと銃を自分よりも背の高い目の前の男の額に押し付ける。

「わ、若……?」
「仲間?あいつらの仲間はお前やろうが」
「っ……!?」

目を見開き息を飲む男。俺は引金にそっと指を添えた。

「うちらの組のもんはな、俺のこと"若"なんて呼ばへん」
「え……」
「俺はな……?」

パァンッ

「…猫て、呼ばれてんねん」
「っ…わ、か……」

ドサッ

額に穴の空いた男を見つめながら優しく微笑む。

「…ごめんな…?俺は優しくあらへん…」
「猫っ!」

自分を呼ぶ声に銃をしまいゆっくりと振り返る。

「っやっぱり…」
「やっぱりてなんや。今頃気付いたんか」
「う……すみません…」

シュンとうなだれた男に苦笑を浮かべて頭を撫でる。
……こいつも背が高いから背伸びしてるけど。

「ね、ねこ……?」
「大丈夫や。お前はまだ新米やもんな。それに死体見たんは初めてやろ」
「っ……で、でも大丈夫で…っ」
「アホ。震えとるで」
「っ!」

気付いてないと思っていたのか、男はピクリと肩を揺らし視線を泳がす。
それを見てにっこりと微笑み、頭を撫でながら男を見つめる。
あー、だから新米はかわええ。

「っ……」
「?どないしたん?顔があか──」
「すみませんっ」
「ぅわっ!?」

顔を赤くした新米に首を傾げると突然謝られ突然抱き締められた。
な、何事…っ!?

「ちょ、何すんねんっ!はよ離しぃ……!」
「すみません、ムリです!」

ぎゅうぅぅと強く抱き締められては抵抗したくても動けない。撫でていた腕が自分と相手の腕に挟まれて動かせない。

「っ…!?」
「あー…やわらか…」
「ひ…っ!?っ…おま、何、人のケツ触ってんねんっ!?」
「すみません、猫が可愛いすぎて…」

もにゅもにゅと尻を巧みに揉まれてピクリと肩を揺らす。

「ちょ……へんた…っ」
「変態じゃないです。猫が可愛いのが悪いんです」
「っ…俺は男や…!」
「俺、猫ならいけます」

そうキッパリ言われても困る。俺もバイだけど困る。
……というか。
もにゅもにゅ…

「ちょ…マジ…離せ…っ」
「……感じてるんですか…?」
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