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□星に願いを
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「ねぇ、会長は七夕するのぉ?」
いつもの様に生徒会室で仕事を片付けていれば、突然目の前に立った亜紀に聞かれた。
……七夕?
「……あぁ、もうそんな時期か…」
「嵐ってイベントとか気にしないよね〜ホント〜」
「うるせぇ。めんどくせぇんだよ、そういうの」
どこか馬鹿にしたように言う蓮に低い声で言えば、気にした風もなく"こーわーいー"とニコニコ笑っていた。
そこで今まで黙々と作業をしていた由紀が顔を上げた。
「会長、生徒は楽しそうでしたよ」
「あ?何のことだ」
意味が分からず問い返すと溜め息を吐かれた。ピク、と俺の片眉が引きつったのが分かる。蓮がおかしそうに笑いながら窓の外を指差したから、俺はそこから見える噴水に目を向けた。
噴水の周りに沢山の笹。そこに群がる大勢の生徒が目に入った。
「……あれは…」
「嵐ってば、こないだの話マジで聞いてなかったんだね〜」
「……七夕の日、笹を出して生徒たちに飾らせると言いましたよ」
「僕も飾ってきたんだよぉ。会長も飾ってきなよぉ」
亜紀が俺の机の上に一枚の青い短柵を置いた。俺はそれを手に取って再び外へと目を向ける。
楽しそうに笑いながら短柵を飾る生徒たち。俺は暫しその光景を見つめていた。