俺についてこい!

□最狂総長!
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ドカッ!

「オラァ!立てよっ!」

とある廃墟で数十人の柄の悪い男達が、数人の男を殴っていた。

何度も何度も肌が重くぶつかる鈍い音がその広い建物の中で反響しては消える。

「ガバッ…すみませ…っ」

「てめぇらが吹っ掛けてきたんだろうがよ!」

「…おまえら、そんくらいにしとけよ」

ぐったりとする男に怒声を浴びせたところで、少し高めの声が響きわたった。
殴っていた男達が一斉に場所を開ける。

声の主は殴られてボロボロになった男の胸ぐらを掴んだ。
男は大きく肩を震わせて腫れ上がった目から怯えた視線を向ける。

「…っ!」

「なぁ、あんたらさぁ、俺のこと知ってる?」

「……疾風の…姫…」

バキィッ!

疾風の姫と言われた男が思いきり掴んでいた男の左頬を殴りつけた。

男は口を切ったのか、血を吐き出して浅く息をする。

「そうらしいけど、姫はいんねぇよ?今から、お仕置きしてあげるぜ♪」

そんな男を楽しげな瞳で見下ろした疾風の姫と呼ばれた人物は、どこからかバイクを持ってきて跨る。
エンジンをかけると、改造したマフラーから爆音が廃墟内に鳴り響いた。

「じゃ質問するから答えろ。てめぇらのチームの名前は?」

「っ…言えねぇ…」

「んー…残念」

この場と見合わない明るい声色を溢すと同時にバイクは顔面蒼白になっている男へと猛スピードで向かう。

「う…うわあぁぁぁぁっ!」

誰もが、バイクが悲鳴をあげる男を引いてしまうと息を潜ませる。
…が、予想とは違い、バイクは彼の顔の目前で止まった。

疾風の姫はバイクをターンさせ、再び男と距離を置く。

「危なかったなぁ、俺、タイミング良かった♪…でも、今度は分かんねぇよ?」

「ひっ…!」

「もっかい聞くな。チームの名前は?」

「……っ……言わ、ねぇ」

「…残念。ラストチャンスだったのによ。じゃ、サヨナラな♪」

疾風の姫はニィ、と楽しそうに顔を歪ませる。
それを見た男は恐怖に体を震わせながら、思わず小さく呟いていた。

「く…狂ってる…」

「……禁句ワード、言っちったな。それじゃ…

 It's Show Time!」

「「「イェーーーイッ!」」」

更に笑みを深めた疾風の姫の楽しそうな掛け声に仲間が騒ぎ出す。
その声と同時にバイクの騒音が更に増した。

そして、バイクは男の顔めがけて発進して───、


「うぐあぁぁァアアっ!!」







「……ばいばい♪バァカ」


そう楽しそうに笑った疾風の姫と仲間が消えた後の廃墟は血溜まりで埋め尽されていた。




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