捧&宝物

□可愛い人!
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腕の中にいる大好きで仕方ない可愛い恋人が、一際甘く甲高い声をあげて白い背をしならせる。

対して俺は発情した雄のような低い唸り声を漏らし、絡みつくナカに己の欲を吐き出した。

ほぼ同時に互いとも果てて、荒く熱い息を吐きながら、スプリングを大きく軋ませて多少肌触りの悪いシーツへと身を沈ませる。

余韻に浸る可愛くて優しくて大好きで仕方ない恋人は、漆黒の瞳を微か蕩けさせて浅い呼吸を繰り返す。

そんな可愛い可愛い恋人が、この時に醸し出している色気がいつも俺に、イケナイ感情を抱かせて。

再び勃ちあがりそうになる己のモノと感情を抑え、今は解かれている艶やかな黒髪をそっと撫でた。

「龍黒…」

すると、いつもの男前な態度とは打って変わって、心地よさげに目を細める。
そんな態度も可愛くて、俺は無意識に「可愛い」と口に出した。

声量があまりにも普通だったからか、指で数えきれないくらい己が可愛いと言ったからか、可愛い恋人は呆れたような眼差しを向ける。
そして、何度聞いたか分からないくらいの反抗の声をあげた。

「可愛くねぇって。それに、龍黒のが可愛い」

この可愛い恋人は、俺のが可愛いと言うのだ。
まったくもって、意味がわからない。

俺が童顔だったり小さかったり、いかにもな可愛い感じの、それこそ男の娘に近いなら話しは別だ。
しかし、俺は身長も普通の男より遥かに高く、ガタイだっていい。
性格だってかなり腹黒いだろうし、この恋人に関しては、病んでるとも言えるくらいの性格だとは分かっている。

どうやら、わんこっぽいみたいだけれど。
…ただ単に、新名に捨てられたくない、新名が好きだから必死になっちゃうだけなんだけどな。
首を捻ると、苦笑いを浮かべられた。
…それは俺の気持ちなんだけど。

まあいっか、と放り投げて勃ちあがりそうになっていた、己のモノをゆっくりと引き抜く。

コプ、と小さな水音を立ててあの厭らしいナカから俺のが流れ出るのを見る度に、征服感と堪らない愛しさに襲われる。

「ん、ぁ…」

それと同時に漏れる、掠れた甘い声にまたもムクムクとイケナイ感情が沸き起こりそうになる。

そんな思いを抑えながら、脇に置いていたタオルで様々な体液を拭ってやり、しっとりと汗ばんだ漆黒の髪を撫でた。

「…サンキュ、龍黒」

柔らかく微笑まれて、それだけで俺の心はどこぞの乙女かのように、キュンと高鳴る。

いや、そんな可愛らしいものじゃないんだけどさ。
新名が可愛いんだよ、勿論。

恋人の可愛さに感服しながら、触り心地のよい髪を撫でたままこっそりと羽根を取り出す。

これがバレると、新名は怒るだろうから、こっそりじゃなきゃいけない。

握った羽根に力をこめて、そっと新名の腰に宛がう。
すると、やはり感触で分かったのか目を白黒させながら俺を見上げてきた。
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