捧&宝物
□君が傍にいてくれるなら
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「「「明けましておめでとうございます!」」」
「おーおめでとう」
黒服が集まる中、緩く着物を纏った俺は奥の席へと腰を下ろしていた。年明けと同時に微妙に揃ってない挨拶に同じく返せば、早速と酒が注がれる。
今日は俺の仲間内だけでの新年会だ。
毎年行っているけど、今回はただの飲み会じゃない。
「三月っ、明けましておめでとー!」
この中で一番若い彼が明るい声色で告げ、それに負けないくらいの笑みを向けてくる。
俺はそれに返しながら未成年の彼にはジュースを注いでやった。
──…今年は、俺の愛しい人、浩介が隣にいる。
「猫、今年も宜しくお願い致します」
「あぁ、宜しくなぁ。というか堅っ苦しい挨拶は良いねん。気楽にみんなで楽しんだって」
時折触れる隣の体温に頬を緩めていれば、真面目な弥生がキッチリと正座で頭を下げてくる。思わず苦笑を溢していると、浩介に不意に横から抱きつかれた。
驚いたのも束の間、目の前からの鋭い視線が怖い。
「猫に気安く触ってんなクソガキ」
「恋人だもん、良いでしょー。ね、三月♪」
弥生の言葉にもさらりと反論した浩介に少し感心してしまっていると、ちゅ、と頬に柔らかな感触があって。
賑やかになっていた部屋が一気に静まり返った…と思ったら、
「「「恋人ぉぉおおお!?」」」
「ッぅわ、うるさっ」
襖が破けるんじゃないかと思う程の声。
──…鼓膜破けちまうから止めてくれ。