捧&宝物

□Reconfirmation of Love
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「ヤバいっ!遅刻だぁぁっ!」

俺、倉本巧己は走っていた。
何故なら今日は八雲さんとの、で…デート、だから。
しかし俺はそんな大事な日に寝坊してしまった。
待ち合わせ場所は駅前。待ち合わせ時間は午前10時。
腕に巻かれたシンプルな腕時計が刻む時刻は───10:28

「おっ、怒られるーーっ!」

叫びながら走る俺に怪訝な視線を向ける人もいるが今は構ってられない。

八雲さんに怒られたら俺は恐怖で死ぬっ!




「っ……は……はぁ…っ」

何とか駅前に着いた俺。時計を見ると刻むのは10:43。かなりの遅刻だ。

「…っは…や……やくもさ…どこ…!?」

俺は荒い呼吸をしながら辺りを見回して探す。長身の紅い髪の人は─────いた。
俺はその人へ駆け寄った。

「八雲さんっ!」

「あ゙?……巧己」

俺は八雲さんに近付いて息を整えようと深呼吸した。
…八雲さんの「あ゙?」にビクついたのは内緒←

「遅れて、すみませんっ!」

「……別に平気だ。それより巧己、携帯は?」

「ほぇっ?………あ゙っ!!」

八雲さんに頭を撫でられて気持ち良いとか思っていたから、また変な声出しちゃったよ;
……じゃなくて!!

「携帯で連絡すれば良かったんだっっっ!!うわぁ!俺のアホーーっ!」

「………」

そのことに気付いた俺は思わず叫んでしまった。……人通りの多い駅前だということを忘れて。

「あのコ大丈夫かしら…」
「うっわ。変人じゃね?」

「チッ…」

俺の叫びに周りが立ち止まり怪訝な視線を向けてきたが、八雲さんの舌打ちで皆何事も無かったように動き出した。

八雲さん、さすが…っ!!←

「……巧己、行くぞ」

「あ、はいっ」






ガタンゴトン…

はい、俺たちは電車なう。
休日だからかいつもよりは人が少しだけ少ない。
俺と八雲さんも簡単に座ることができた。

「…巧己」

「えっはい?」

突然八雲さんに呼ばれて隣を見る。そして俺は思わずビクついた。だって何故か奥の方を見る八雲さんの眉間に皺が寄ってるんですもん。
…いや、いつも寄ってるけどさ。今は凄く不機嫌なのが伝わってくる。

「…八雲さん?」

俺は八雲さんの視線の先を伺う。そこには一人の男が。そいつは此方をジッと見つめていた。正しくは、俺かもしんない。やがて、そいつが口を開く。

「あれ?巧己じゃね?」
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