捧&宝物
□Reconfirmation of Love
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「………え?」
「やっぱ巧己だよなぁ?」
爽やかな笑顔で明るい口調で言いながら此方へ歩み寄ってくる男。俺は男を見つめて首を傾げた。
……誰だ?
明らかに俺を知っているようで親しく言葉を発してくる。対して俺は全く男のことを思い出せない。
「……えっ、と…?」
「あ、覚えてねぇ?ほら、河本猛(コウモト タケル)だよ猛っ!小学校一緒だったろー?」
「…あっ!たけちゃんっ!」
ニッと楽しそうな笑み、明るく軽い口調、少し垂れ目な蒼目。思い出した、たけちゃんだ。小学校の時の一緒だった。
「思い出したか。忘れたとかひどくね?」
「ご、ごめんっ。だって久しぶりだから……」
「クスッ………ま、思い出してくれたからチャラにしてやろーじゃないのっ」
ニコッと更に笑みを深めて明るく言うとたけちゃんは俺の隣に座った。
「……誰、お前」
そこで八雲さんがたけちゃんを睨む。その鋭い視線に俺は少し縮こまるが、たけちゃんは特に動じた様子もなくヘラッと笑った。
「あ、どうもっ。俺、巧己の小学校の時のダチでーす。河本猛っ!よろしくなっ」
「……彰。別によろしくしたくねぇ」
「わぉっ!巧己、平凡のくせに不良のダチなんかすげぇなっ」
………なんなんだ、この二人は。
明らかに性格が合ってない。それにたけちゃん、マイペースな所も変わってない。本当に懐かしい。
そして俺はたけちゃんの言葉に曖昧に頷くしかなかった。だって友達じゃないしな。こ、ここ……恋人、だし。
「う、うん……まぁ…」
「でもなんかあれだよなぁ。ダチっつーかパシリ?」
「……は?」
「だから、お前らが並んでると巧己がパシリに見えるっ」
たけちゃんはそう言うと「あははっ」と笑う。
…まぁ、不良と平凡が並んでたらそう見えるのも無理ないだろう。つか見えない奴はある意味凄いと思う。
………というかね。たけちゃんのパシリ発言に突然八雲さんから冷気が流れ込んでくるんですが。
「……や…八雲さん……?」
「ぁあ゙?」
「ひっ…!な、何でもありませんっ!」
ムリでしたムリでしたっ!八雲さんの冷気に耐えられませんでしたっ!こ、こわ…っ!←
「チッ…」
「なぁ、彰…だっけ?俺も遊ぶの混ぜてくんねっ?」
「……は?」
八雲さんが少しだけ目を見開いた。たけちゃんはニコニコと笑っている。そして俺は二人の間で固まっている←