捧&宝物
□疾風旋風-gale sensation!!-
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「あれ?」
珍しい。人がいるなんて。
この俺、文月七海の日課と言えば日課。
屋上での読書。
今日も今日とて屋上に行ったら、そこには既に先客がいた。
フェンス越しにじっと校庭を見つめるそいつは、なんだか危ない奴に見えた。
おいおい……なんだこのデジャヴは。
まさか
いや馬鹿な。
あれは思いつめてるってより、なんていうかな
放心?
じっと遠巻きに見ていたらわなわなとフェンスを握るそいつの手が震えはじめた。
「何処だここはああああぁぁ!?」
「……なぁ、あんた」
おそるおそる声をかけてみたら、そいつはバッと振り向いた。
って、うわ。
自分から声をかけておいて、二の句を告ぐことが出来なかった。
何でってそりゃあ仕方ない。
綺麗な色をした人間。
光に透けた金髪が彼の顔を絶妙な角度で隠して、赤のメッシュも一際目を引いたし。
極めつけはその顔立ちだ。
綺麗に整った意志の強そうな顔。
左右色の違う瞳が、困惑を含んでこちらを見つめる。
何だろう、妙な心地だ。
「アンタ、誰?」