捧&宝物

□お友達になろう!
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(ぃぃい一本背負い!?)



「あ、わ、悪ぃ啓太っ!大丈夫か…?」
「大、丈、夫だ…あは、は」
床に沈んだ長谷川はぴくぴくと揺れる。だめだこりゃ。
体格的には圧倒的に長谷川のほうが勝るのに、こうもあっさり投げられるなんて…さすが後藤と長谷川の悪友、といったところですか。

「その黒いのなんだよマジでー」
後藤が隼人さんに詰め寄る。
「なんでもないってカツラとかじゃないし!…あっ」
(カツラ?)
思わず彼の頭部をチラ見。別に異常はなさそうだけど。
「カツラとは言ってないだろぉー。早く見せてみろって」
「なんでもないからホントにっ!変装とかそんなことこの俺がするわけねぇじゃんあははっ」
(変装?コスプレとかじゃなくて?)

「変装?…お前、一体どんな学校生活送ってんだよ」
ぴり、と長谷川の眉間に割れ目ができる。
(おぉ)
長谷川がちゃんと怒ってる感じだ。隼人さんってほんとにすごい人なんだなぁと感心してしまう。

「べべべ、べっつに普通、だよ、うん」
「本当か?」
「あ、あぁ」
長谷川が詰め寄れば隼人さんは逃げるように顔をそらした。
「――…あの」

「お前ら、他校の生徒を連れ込んでるらしいな。」

空気が凍った。

ぱきんっと一瞬で。頭上から落ちてきた彼の低い小さな声は小さな寮室に轟き渡った。他の人だったらごまかすことは出来たんだろうけど、俺達はとことん運が無かったらしい。
「うげ。桜場っ」
後藤はわかりやすく『しまった』という顔をつくった。

「え、教師!?」
隼人さんも桜場を見上げた。

「………………清水」
「はいすみませんごめんなさい」
後藤も隼人さんも勇気あるなぁーよくもまぁ怒ってるアイツの顔を見れるよ。俺はオーラと視線と声だけで動けません。
「お前がついていながらどうしてこういうことになる」
「し、仕方ないでしょ。後藤の友達なんだから」
「あー清水ずりぃー」
(事実だろうがっ)

「…んなことどうでもいい」

「…え?」
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