捧&宝物

□Same name?
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今日は少し遠出して、遊園地で遊ぶことになった。
男二人で遊園地で…とも思ったけど、案外男仲間で来てる人たちもいるんだな。
まぁ俺らは、その、デート…なんだけど。

勇気に連れまわされ、ジェットコースターを5回ほど乗ったところで俺がダウンした。
絶叫系は嫌いじゃない。けど5回って普通乗らないぞ?!
そんな俺を気遣ってか、勇気が飲み物を買いに行ってくれた。
俺は一人ベンチで休憩中。

そういや、勇気はまた何を買うかで迷ってたりしないよな…。
少し心配になって、そろそろ体調も戻ったってことで勇気を追いかけようとしたとき、隣に座った人が何か落とした。



「あ」



それは転がって俺の足元に落ち着いた。ストラップ、かな。
拾い上げて隣の人に渡す。



「どぞ」
「すすすすみません!」



相手の人は焦ったようにそれを受け取りギュウと抱きしめた。



「大事なものなんですね」
「え、な、なんで…」
「あ、なんとなく、大事そうにしてたので…」



ポロッと思ってたことが口に出てしまった。
なんかただの怪しい人じゃねぇか!!
気まずくなって視線を逸らしても、隣の人からの視線は刺さったまま…。ああ、やっぱし不審者だと思われた?



「そう、なんです。さっき買ってもらって…」



気を悪くしたようでもなく、隣の人は頬を赤く染めて笑った。
う、わ…凄い、大事なもんなんだなぁ。てか、買ってもらったってことは、大事な人からだろうか。



「いいですね」



その人を見てると、なんだか俺の方もほっこりして暖かい気持ちになった。
気分悪いのなんて本当にどっかいってしまったみたいだ。



「…たくみ…」



隣の人と笑い合っていると、名前を呼ばれたと思ってそちらに顔を向ける。
…えええええ、俺こんな人と知り合ってないよ!
赤髪赤目、男前なのにこの人絶対不良だって雰囲気出てるよマジ眉間に寄った皺やべぇ!!
勇気である程度は耐性ついたと思ってたけどダメだね!不良怖い!
その時の俺の顔は真っ青だったと思うんだ。



「八雲さん!」
「…え」



隣の人が嬉しそうに反応した。
え、だってこの人さっき拓実って言わなかった?



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