捧&宝物

□Same name?
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「…誰、こいつ」
「あ、さっきこれ拾ってもらっちゃって…」
「拓実!」



そんなところに勇気登場。
やっぱり、『たくみ』って呼ばれたことに隣の人も反応した。



「…誰だ、お前」
「あ゛?てめぇこそ誰だよ。拓実に絡んでんじゃねぇぞ」



自分よりデカい赤髪不良さんをにらみつける勇気。やめて!やめてあげて!俺の心臓が持たないから!
しかもお前それ多大なる誤解だぞー?!いやものすごく睨まれてはいたけども!



「巧己になんか用か」
「軽々しく名前呼んでんじゃねえぞテメェ」



なんだかお互いの胸倉掴みだしそうな勢いです。
えっと…たくみくん?もオロオロしてる。わかるよ、こんな不良に声かけらんないよね!
睨みあう二人が怖すぎて見てられなくなった俺は、隣にいるたくみくん?に声をかけた。



「えっと…たくみ、くん?」
「ほぇ?!う、うん!そう」
「そっか、俺も拓実って言うんだ。開拓の拓に真実の実で拓実、な」
「そうなんだ!?あれ?あの金髪さんは友達?」
「…うんまぁ連れだよ。赤髪さんは君の?」
「うん、そうなんだけど…二人とも勘違いしてるみたいだよな…」
「止めないとかぁ…」



二人して未だに冷戦状態の二人を見やる。
…うん、無理!だってオーラが!オーラが!
って言ってても仕方ないですよねぇぇぇええええ!!気張れ俺!



「ゆ、勇気!」
「や、八雲さん!」



俺が勇気の腕を引っ張って、巧己くんが八雲さん?の腕を引っ張る。



「うお、なんだよ拓実。てかあいつと知り合いかよ?!」
「なわけないだろ!あの子も巧己っていうんだって。だからお前が勘違いしてるだけ」
「は?そうなのか?んだよ…」
「あのっ…」
俺たちが話していると、巧己くんが声をかけてきた。
どうやら八雲さんをなだめてくれたらしい。



「すみませんでした…」
「いやいや、こっちこそ」
「…巧己、行くぞ」
「あ、八雲さん待ってください!それじゃあ!」



先に行ってしまった八雲さんを巧己くんが追う。
そして俺は見てしまった。眉間に皺を寄せた顔から一転、優しく甘く巧己くんに微笑んだのを。



「そういや八雲って、この辺の頂点にいるやつだったか?」
「は?!」
「ま、どうでもいいか。ほら拓実、飲み物」
「お、悪い」



どうでもよくないだろう!といってやりたかったけど、ちゃんと飲み物買ってきてくれたし、大事にならなかったし、まぁ…いいかな。
それにしても、案外同じ名前の人っているんだなぁ。
そう呟いたら、



「俺にとって大事な拓実はお前だけだけどな」
「……」



…とりあえず、喉を潤そうかな!

俺にとってもなんて、恥ずかしすぎていえるわけない。



END
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