俺についてこい!

□疾風の姫親衛隊!
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暫しすると微か疲れたような表情の夜神先生が来て俺をベッドに座らせてから先生も腰掛ける。俺は眉を寄せながらその顔を見た。

「…先生、大丈夫?」

「…大丈夫じゃねぇ。面倒なことにしてくれたな…」

眉を寄せながら溜め息混じりに言われた言葉に、俺は空笑いするしかない。
軽く睨まれて即座に謝れば、大きな手が俺の頭に置かれた。そのまま撫でるように動かされる。

「先生…?」

「お前らが無事で良かった…」

「ッ、」

心底安堵したような優しげな笑みを浮かべる先生に、一瞬心臓が跳ねた。

恐るべきイケメンパワー…!

バチン、と己の頬を叩けば、先生達の怪しげな視線を当てられたがシカトしてやった。

「…しかしホント…お前やってくれたなぁ」

「何が?」

「………覚えてないのか?」

手が離れ呆れたように言われて一瞬首を傾げるも、夜神先生に眉を潜められてしまい、俺は腕を組みながら記憶を呼び起こす。

親衛隊に呼び出されて生物室に行ったら捕まって、千種と俺が襲われそうになって、キスされ──…

「…おぇえ…また男とキスしちまった…」

「……俺が口直しするか?」

「結構です」

ショックにうつ向くと鼻で笑った夜神先生に提案されたが、即座に却下した。
そして不意に気付く。視界に入る髪の毛が、見慣れた金髪であることに。

バッとベッドから降りると洗面台に駆け寄り、それの上に取り付けられた鏡を見た。そこに写るのは、本来の俺の姿。
俺は頭が混乱しすぎてて、今の今まで気付かなかったのだ。
そして思い出す、キレた俺はあの二人を殴って──…

鏡に写る俺の顔からサァ、と赤みが引いた。

「ぁ…あはは…まさか生徒会に…」

「それどころか全生徒にだ」

「全生徒に!?何で!」

「隼人くん、これ見て下さい」

武井先生が楽しげに見せてきたのは校内新聞で、一面トップを飾るのは、素顔の俺の写真。

“疾風の姫、明隆を救うために現る!”

「……っ…」

「今、学園中が大騒ぎですよ」

「同時に平凡隼人がいなくなって、俺のクラスは倍に大騒ぎだ。本当に面倒なことにしてくれたな」

「…な…な…」

ビリッと俺の手に握られる新聞紙が半分に破られた。

「何でそうなるんだぁああ!」


誰に向けた訳でもない俺の怒声が、保健室から廊下中に響き渡った。

煩い、と夜神先生の鉄拳を落とされたのは言うまでもない。




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