俺についてこい!
□疾風の姫親衛隊!
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「えっ…何で疾風の姫が制服着てるのっ…!?」
「噂通りの美人…っ」
「ぅわ、初めて見た感動…!」
「人気者だな、疾風の姫?」
「姫じゃねぇっての!」
今俺は、教室へ向かうために夜神先生の隣を“素顔”で歩いている。
変装グッズどうしたって?
眼鏡とヅラはあの教室に置きっ放しだし、カラコンは多分暴れた時にお陀仏になりましたが何か?
というか、突き刺さる視線が痛いです。
「あぁあ…ついこの間までの平穏帰ってこい…!」
「諦めろ、自業自得だ」
バッサリと先生に切られて、俺は唸りながら頭を抱えた。
ガラッ
2‐Bの教室のドアを開ければ、ざわついていた生徒が一気に黙りこんで硬直する。
その中で一人だけ俺を見た瞬間に安堵の笑みを浮かべて、彼には珍しく、抱きついてきた。
「良かった……無事だったんだね、隼人っ」
「隆司…!」
ぎゅう…っと俺も隆司の背中に両腕を回して、抱き締め返してやる。
あぁ、こんな心配してくれる隆司大好きだ!
なんて高揚する気持ちの中で、突然クラスメイト達が驚きの声をあげて駆け寄ってきた。
「え、お前坂下!?」
「おぅ坂下」
「平凡は、どこに消えちゃったの!?」
「あれ変装」
「坂下が噂の姫!?」
「だから姫じゃねぇよ!殴るぞゴラ!」
隆司の肩越しに詰め寄るクラスメイトの質問に一つ一つ答えていく。ちなみに抱き締めたままなのは、隆司が離さない訳ではなく俺が隆司を離さない訳で。
俺の怒声にはヒィッとクラスメイト達が逃げて、同時に夜神先生の持つ出席簿が俺の頭に降ってきた。
「ぃでっ」
「威嚇してねぇで早く席に着けやクソガキ共」
隆司を離して痛む頭を抑えながら振り返れば、ニーッコリと怖いくらいの満面の笑みを浮かべた先生にとてつもなく低い声で叱られました。
怯えた俺たちは慌てて己の席に着く。
怖いよ、せっちゃん。
「誰がせっちゃんだコラァ」
「あらやだ聞こえた?」
「心の声、だだ漏れだ馬鹿」