俺についてこい!
□深夜の大暴走!
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「…来たな」
制服でも部屋着でもなく、仲間として今まで見慣れていた服装で出てきた神谷先輩は、俺を見て口角を持ち上げる。
既に連絡済みなので互いに準備万端だ。
「徹にも隆司にも俺から伝えといた」
「ちゃんと口止めはしとけよ」
「あいつらは大丈夫だって」
伝えた時の二人の異常なくらいの心配の仕方を思い出して小さく笑う。
信じれる大切な友達。そんなものが俺に出来るなんて思ってもみなかったな。
そんなことをぼんやりと思いつつ、早速と部屋を出て廊下を進み始める先輩の後を追った。
寮を出てから数十分、薄暗い森の中をただひたすら二人で進んでいた。
つか改めて思うけど、学園広すぎ!いらねぇだろこんな広い森!学園内でハイキングでもすんのか!
なかなか森抜けないわ暴れる前に疲れそうだわで苛々と眉を潜めていると、いきなり目の前を進んでいた影が止まって、次の瞬間には俺の体が浮いていた。
「っえ、」
「あんま苛々すんな。綺麗な顔台無しだぞ、将来しわくちゃになる」
「しわくちゃにならねぇ!つか何で抱っこ!?」
いつもより凄く高くなった視界といつもと逆に俺を見上げる神谷先輩の顔。
あの、正に父親が小さな子供を抱き上げるアレ。あんな感じで抱っこされてる。
本気の子供抱っこに恥ずかしいわ、視線高過ぎて怖いわで俺の顔は赤くなったり蒼くなったりだ。
160近い俺が190近い先輩に抱っこされて、先輩の顔は俺が見下ろしている。…絶対これ高さ二メートルの視界。
歩くために不安定で先輩の肩に軽くしがみつけば不思議そうに首を傾げられた。
「お?…疾風、どした?」
「高い怖い。でも楽しい」
「…どっちだよ」