俺についてこい!
□最狂総長!
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親父の言う明隆学園とは、ここらで有名な全寮制の金持ち男子校。初等部から高等部まである、いわゆるエスカレーター校だ。
なぜ俺がそんなとこへ行かなきゃならない!
「理事長が光宏でな、俺が「仕事で数年帰ってこれない」って言ったら、あいつが俺んとこ来いって」
「えぇ!?みっちゃん、理事長だったのかよ!?」
「あぁ」
みっちゃんとは、親父の弟。光宏っつー名前だから、俺はみっちゃんて呼んでる。
そして、NatuRalの俺の前の総長、麒麟でもある。
ちなみに俺は、親父が何の仕事をしているのは知らない。聞くなと言われているから俺も聞かないんだ。
「てか俺、2年になったばかりじゃねぇかよ!?学年上がって一ヶ月で転校とか意味わかんねぇし!」
「落ち着け」
「あい」
睨まれました。めっちゃ親父に睨まれました!
つくづく親父には勝てない俺。というか、常に仏頂面の親父がいけない。怖いよ、親父。
「つか、今の学校は?荷物はどうすんだよ?」
「転校手続きはしてある。荷物も運んである。」
ワォ★人の意見無視して勝手に決めちゃってるよ、この人っ!ムカつくわ!
「悪かったな」
「あれ?エスパー?」
「声に出てる」
うおおマジかよ!
「うるさい」
「あら、声に出てました?」
「すごくな」
「お恥ずかしい」
「黙れ。バカ息子」
「隼人、泣いちゃうっ」
「…いっぺん死んでくるか?」
「ごめんなさい」
低く唸るような声で問われれば、俺は即座に謝罪をした。
親父の威圧がヤバすぎて、本当に怖いです。
「そうだ。これしろ」
「んあ?…何これ?」
「カツラとメガネとカラコン」
「ハゲてねぇし、視力悪くないよ?」
「変装。へ・ん・そ・う」
目を瞬かせていると面倒そうにカツラを俺の顔にぶつけてきた。
ぶへ、と変な声をあげて、ゆっくりと落ちていくカツラをただ見つめる。
HE・N・SO・U!?
なんでまたどうしてさ!?
「目立つからだよ、隼人が」
「オッケーイ」
この見た目が目立つのは知っている。またあの嫌な視線を受け止めたくなくて、俺は変装セットを装備していく。
金髪を縛ってー♪
ヘアピンでカツラつけてー♪
そし「黙ってやれ」
はい。
「ほら、行け。じゃあな」
「ちょ、命令形かよっ!」
「死ね」
息子に死ねはないでしょ。
俺は、親父と辛い別れを……いや、なんともアッサリとした別れをして家を出た。