俺についてこい!
□新入生歓迎会!
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「全員、体育着に着替えて体育館に行けー」
気だるげに夜神先生がそれだけを告げて教室を出ていくと、途端に室内が騒がしくなる。
「嵐様に捕まりたいー」
「由紀様の写メ撮らなきゃ!」
「亜紀ちゃん捕まえるぜ!」
「蓮様の…っ!」
「高校生が鬼ごっこでこんな騒げるものなのか…」
「多分ここだけだと思う…」
そう。今日は待ちに待った新入生歓迎会だ。
クラスメイト達は殆ど生徒会目当てで意気揚々と張り切っている。
それを眺める俺はもう呆れるしかない。
でも!
「俺も今日は張り切るぜ!」
「うん、頑張ってね」
「は?隆司も、一緒に走るんだよ」
「え゙」
「徹たちよりは、運動神経抜群の隆司といた方がいいじゃねぇか♪」
俺がニコニコとそう言うと、隆司は苦笑しながらも「まぁ、走るのは楽しいからいっか…」と快く承諾してくれた。
「っし!がんばるぜぇ!」
クラスメイト同様に張り切る俺を見る隆司の乾いた笑みには誰も気づかなかった。
「───今から開会式を始めまぁす!」
見たことのある生徒の一声で大勢の生徒で埋る体育館の中は歓声で揺れた。
「誰だ?あの可愛い人」
「あの人は、生徒会書記の相楽亜紀先輩だよ」
「先輩!?あんな子供っぽい容姿してんのに!?」
「…うん、先輩。亜紀先輩には由紀先輩って双子もいるんだ。凄いそっくりなんだけど、性格ですぐ見分けられるよ」
俺が失礼な物言いをしても隆司は苦笑しながら流し、簡単に説明してくれる。
へぇ、と返事を返しながらステージに上がる小さな姿を見つめた。
【朝日】【夕日】
それがあの双子の裏の名だ。亜紀先輩は朝日で由紀先輩が夕日と呼ばれる。
あの二人、黒いオーラが時々見えて怖ぇんだよな…。
「えっとぉ、司会は亜紀がやるからねぇ☆」
「うぉぉぉーーっ!」
「亜紀ちゃんかわいい!」
「っ……みん、な静かに聞いてて…ねぇ?」
「亜紀ちゃん、ごめんなっ」
「怖がんないでっ」
「…うん。じゃ、シィーだよぉ?」
「「「はぁい」」」
ガタイのいい奴らが亜紀先輩の涙目にやられて一気に静かになる。亜紀先輩は、にっこり微笑んでステージから降りた。
そして今度は会長がステージに上がる、と再び、体育館が歓声で揺れる。
いちいちうるせぇな…。
「静かにしろ」
…流石、会長なだけあるのか。騒ぐ生徒達をたった一言で生徒達を黙らせた。