BOOK
□マフラー
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旅先で吹雪とたわいない話をしていてふと目に入った
染「そういえば、なんでいつもマフラーしてんだよ」
ここは別に寒くない
というより暑いくらいの気温
マフラーをしている人なんて目の前の人物以外見当たらない
吹「えっ?」
染「だからマフラーだっての。ココそんなに寒いか?
それに半袖のユニフォームにマフラーっておかしくねぇか?」
染岡はそう言ってみたものの、不思議と変には思わなかった
むしろ似合っている
それは吹雪の肌がやけてないからか、
いつもマフラーをしているから違和感がなくなったからなのかは分からないが…
吹「おかしいのかは分からないけど、このマフラーは外せないよ」
染「なんでだよ?」
吹「…このマフラーね、アツヤのなんだ。いつもアツヤが肌身離さず巻いてた。だから、これ巻いてると、不思議とアツヤがすぐ近くで生きてるような気がして…」
吹雪の眼がうっすらと濡れてきている…
染「すまん、嫌な事思い出させちまったな…。」
その言葉に吹雪は眼を指先でそっとこする
吹「大丈夫だよ?」
そう言って微笑う吹雪
その笑顔は無理しているようだった
染「……ょ」
吹「えっ?」
染「泣けよ…。ココなら誰もいねぇ。寂しかったら、泣けよ」
吹「…う…ヒック、うわぁぁ!!」
その言葉を聞いた吹雪は、大粒の涙を流しながら泣いた。
染岡はそっと、吹雪を抱き寄せ、吹雪が泣きやむまで背中を撫でた
一人で背負わないで
キミの苦しみは
ボクの苦しみ
背負うよ
一緒に