短編

□拍手log
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(Erde)※ティエが女々しい


私の先輩は、
完全無欠って感じの人。


出来の悪い私とは
正反対なんだ。


それ故に先輩は
私に会う度に
皮肉を込めた言葉を
ぶつけてくる。


アホな私でも
馬鹿にされてることくらい
解りますよーだ!!


まぁ、私は頭が弱いので
言い返せない。


悔しいと思う。


実力で見返せれば良いが
冒頭で言った通り、
先輩は完全無欠な感じ。


『先輩は
弱点ないんですかー?』


「ない。あったとしても
貴様に話す義務はない」


まとわりついて聞けば
先輩はうざったそうな
オーラを出した。


先輩、なんか黒い空気で
辺りがよどんでます。


そう思いながらも
私は腰に抱きついたまま。


先輩の腰、やっぱ細いな〜


「離れろ!!
だいたい貴様は何故
何時も僕にまとわりつく」


遂に怒られた。


怒ってる顔も
とても美しいです、先輩!!


『いやぁ、
何時もくっついとけば
先輩の弱点が解るかなと』


「だから貴様は馬鹿なんだ
勉強しろ!訓練しろ!
さもないとヴァーチェで、、、」


ゴチャゴチャと先輩は
何かを言っていたけど、
聞かない。


だって、長いんだもん!!

◇◆◇◆◇◆


スメラギさんが
地上で任務よ!!と
張り切って言われて、
私と先輩は地上に居る。


先輩は地上が大嫌いだと
何時も愚痴を漏らす。


地球には良いものが
沢山あるのに、
すごくもったいない。


先輩の弱点は地上じゃん!!
なんて今更ながら
気付いたけど、
先輩に仕返しは
出来そうにはない。


◇◆◇◆◇◆


それは夜の空を
駆けていった。


綺麗だなと
ホテルの窓から
それを眺め、私は数える。


1、2、3、、、ゴロゴロゴロ!!


私は雷が
好きだったりする。


だから、
悲鳴は上げない筈だけど、


ピカッ


「きゃあっ!!」


可愛い、叫び声が
部屋の空気を震わした。


部屋には明日の日程を
確認しに来た先輩と
私しか居ない。


すると必然的に先輩が
悲鳴を上げた事になる。


『先輩?』


私とテーブルを挟んで
反対側に先輩は
居たんだけど
姿は見当たらない。


『ティッエッリア先輩っ』


こう呼べば、先輩は
何処に居ても
私に必ず拳を振るう。


「、、、ふざけるな」


でも、何時もと違い
痛くは無かったし
弱々しい声が聞こえた。


ふざけてるのは
先輩の方だと思う。


座布団で頭を隠し
テーブルの下で
小さく丸くなっている。


地震じゃないですよ。


『先輩、
まさか雷怖いんですか?』


「怖い訳、、、」


ピカッ、ゴロゴロゴロ!!


「ひゃあっ!?」


雷がそうとう苦手らしく
体はガタガタと震えていた。


せっかく、先輩に
仕返しするチャンスなのに
私はそれをしなかった。


『先輩、』


先輩の背中を撫でた。
ゆっくり、ゆっくり


「馬鹿にしないのか?」


そんな泣きそうな先輩を
馬鹿にするほど酷くない。


『誰にだって、
苦手はあるものです』


その夜はしばらく、
雷は収まらなかった。


何故か私に
しがみついたままの先輩。


なんだか、
何時もの冷たい雰囲気と
180°違う雰囲気の先輩は
小さくて、可愛くて、
なんかキュンってした。









雷ではない、少女は
恋の雷(イカヅチ)に
打たれたのだ



*

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