短編

□サヨナラ、私
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鏡に映る私を
私は見つめた


幼い頃から
あまり変わらないと
言われる顔に少し笑いが
こみ上げた


何、ニヤニヤしてんだ


昔より低くなった声が
私に問いかけてきた


なんでもないのよ


そう言えば彼は眉間に
皺を寄せる


鏡に移る二人に
いつから身長差なんて
出来たのだろうか


幼なじみというより
腐れ縁の私と彼は
何時だって一緒だった


汚い表現だが、
金魚のフンみたいに
彼の後ろを
付いてまわったものだ


青というのか
何とも言えないあの
スモッグを着て
黄色の帽子を被って
並んだ時もあった


周りの子が親と離れるのを
拒み泣く中、
私は彼さえ居ればいいと
親の姿さえ探さなかった


それから三年、
ランドセルを背負って
小学校へ


周りの女の子が赤やピンクの
ランドセルを持つ中、
私は一人、黒だった


彼が黒なのに
どうして赤なのかと
親を困らせたな


中学、高校は
揃えた訳ではないが
同じ部活をやったし、
大学も同じ学科


趣味は似ていたがら、
必然的に同じ道を
歩くことになっていた



『そんな私達の関係も
今日で終わりなんだね』


寂しさを抱えていたが
言葉にしてみると
より一層悲しくなる


「ある意味
変わりないんだがな」


視界が濡れた


「今から泣いて、
どうすんだよ」


さよなら、私


ワガママで貴方に
甘えるだけのはお子様な
私は今日で終わり


初めまして、私


一週間と経たないうちに
私は真っ白なドレスに
身を包んで、
貴方へと続く赤い道を
ゆくでしょう


これからは二人、対等に
支え合って
生きていくのだから



今日から私、
“神田”になります






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リクエストして下さり
ありがとうございました
ご希望に添えたか解りませんが
これからもよろしくお願いします


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