daigo
□ミラクルロマンス
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掃除をしていたら昔、宝箱と称されていたチョコレートの缶が出てきた。
「…。こんにちは、お久しぶりです」
とりあえず挨拶をしてみるが当たり前に返事はなくて。
過去のことはあまり覚えてなかったから開けるのは少し怖かった。
いや、少し覚えてたから怖かったのかな。
それでも何が入っているのか気になって開けてみる事にした。
ちょっとだけへこみがあって開きにくかった。
中をみてみると、ごちゃごちゃという言葉が似合う様子。
そのごちゃごちゃ一つ一つに手をつけてみる私。
プラスチックの指輪やシール、手紙、セー●ームーンのカード、よくわからない石など沢山の宝物が入っている。
さらに奥は、日記帳やら写真が入っていた。
写真に写っているのは小学校低学年だと思われる私とダイゴ。
よく見るとダイゴは泣いていて私は持っていたヘビをダイゴに向けて笑っていた。
思考回路はショート寸前。
日記帳を見てみると、
―――――
8月26日 はれ
今日は、ダイゴに石をもらった。
ダイゴは月にあったすごい石だっていうけど、よくわかんなかった。あしたみっちゃんと交換ごっこであげようかな。
8月28日 はれ のち くもり
算数の宿だいがおわりません。今からダイゴに手伝ってもらいます。ダイゴはすぐ泣くけどよく手伝ってくれるよ。
―――――
まさかのムーンストーン伝説。
10秒間よくわかんなかった石を見つめていた。結局みっちゃんはもらってくれなかったらしい。
てか宿題手伝わせてたんだ私。
「ただいま〜」
「げ、おかえり。」
「何そのげ、って。」
「いや、今ね。泣きたくなるような黒歴史が掘り起こされたの」
「へえー。面白そうだね。後で僕にも見せてよ」
にこりと笑うこの男。
「ねえ、あたしって昔実はいじめっ子だった…?」
ヘビを持っている写真を見せながら言うと
「あ、懐かしいなーそれ。うわ僕かっこわる」
「ダイゴ泣き虫だったんだね。」
「君は僕をよく泣かせてくれたよ。それに小さい頃から君が好きでよく石あげてたのに何これいらないとか言われるし」
「……(それに人にあげようとしてました)。でも普通好きな子に石とかじゃなくてもっと綺麗なものあげるでしょ」
「君も普通だったら女の子はヘビとか持たないよ。ていうか石綺麗じゃん」
「子どもに月の石の良さなんてわかんなかったよ」
「…え、覚えてたの?月の石って」
「これでしょ」
宝箱に入っていたよくわからない石を取り出す。
「取っといてくれたんだ。」
少し顔を赤くさせるダイゴ。
何こいつ可愛いじゃん。
小さい頃、よくダイゴをからかっていた理由がわかった気がする。
今も昔も変わらない。
まあ、そんなダイゴと今は結婚しちゃってるんだけどね。
end