Snow White

□屋上響くジャンケン声
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瑠璃華達とシャマルと話している間に、時間は昼を少し過ぎる

そしてやっと、瑠璃華はツナ達に連れられて、お目当ての屋上に着いた


吹き抜ける風が、何とも心地いい




「わぁー…!」

「オレ達、いつもここで弁当食べてるんだ」



初めて見た眺めのいい景色に、つい心踊る瑠璃華

そんなはしゃぐ瑠璃華に、ツナは何だか心が安らいだような気分になった




「天草って、屋上にいったことなかったのか?」

「うん、私初めてだよ!屋上ってトコロに来たの」


「…瑠璃華って、なんか変わってるわよねぇ」

「?そうかな?」



ため息がつきそうな花の言葉に、はしゃいでいた瑠璃華はキョトンとなる
自分では自覚していなかったのだ

そんな中、なぜかちょっと気まずくなっていたツナが声をかける




「そ、そんなことより、そろそろお弁当食べよっか!」

「そーすね!」

「腹減っちまったな−」



ツナ達が弁当の包みを広げるのを見て、瑠璃華もお弁当の包みを広げた



きっと、ツナや山本達は母親や父親にお弁当を作ってもらっているだろうが、瑠璃華は自分でお弁当を作っていたりする

なぜなら、瑠璃華はマンションでもなくアパートでもなく、庭付きの一軒家に住んでいる、一人暮らしだからだ


頼れる人は、いない


なので昼食に食べるお弁当はおろか、1日の元気の源である朝ご飯も瑠璃華自身が作っている



しかし、そこはイタリアからやってきている瑠璃華。まだ日本にやってきて日が浅いので、日本料理はあまり作れない

今のところ、作れるのは日本料理の定番な卵焼きぐらいだ



しかしだからといって、お弁当の中身を卵焼きだけにしてはいけない。彩りがないし、何より栄養のバランスが偏ってしまう

女としての意地があるのか、瑠璃華はそーゆーところにはこだわっていた



そしてだから、瑠璃華は早起きをして、約1時間程をかけ、持ち前の頭脳を振り絞って、やっとお弁当を作り上げたのだ

その時の喜びといったら、そりゃあもう瑠璃華は喜んでいた


"料理は楽しい"

そう思えた瞬間だった







「わぁ〜!瑠璃華ちゃんのお弁当、豪華だね!」

「ホント、手がこってるわね…」



瑠璃華がお弁当を作っていた時のことを思い出していると、不意に京子と花から声をかけられた
思わず「へ?」と言ってしまう

状況を確認すると、広げた瑠璃華のお弁当の中身を見て、隣に座っていた京子と花が声をかけてきたのだ


そんな京子と花に続いて、ツナ達もお弁当を覗き込む




「うわ!すごい!」

「た、確かに…」

「スゲーうまそーだな!」


「そ、そんな事ないよ…」




京子達に続き、ツナ達も瑠璃華のお弁当をおいしそう褒めたので、瑠璃華はなんか恥ずかしくなってしまった

…確かに、このお弁当は瑠璃華が張り切って作ったけども、本人にとっては普通のお弁当とあまり変わらないのだ



「ね、もしかしてこのお弁当って瑠璃華ちゃんの手作り?」

「う、うん…でも普通だよ?」


「そんなことないよ!自分でお弁当作るって、瑠璃華ちゃんスゴイよ!」

「ホント!お料理上手なんだね、瑠璃華ちゃん!」

「そ…そうかなぁ?」



ツナと京子に褒められて、次第に頬を赤く染める瑠璃華


…幼少の頃に両親が死んだ以来、"料理は自分で作るモノ"なのだと教わった瑠璃華は、今まで自分で作ってきた

そしていつだって、自分で作った料理を人に食べてもらえることは嬉しいこと

褒められたなら、尚更だ



瑠璃華はだんだん、照れ臭くなっていった






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