Snow White

□屋上響くジャンケン声
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「なぁ、天草の弁当、ちょっとつまんでもいいか?なんか弁当見てたら食いたくなっちまって」



瑠璃華がお弁当を食べようとしたその時…山本が頬をかきながら、ちょっと気まずそうに訪ねてきた

そんな山本に、瑠璃華は嬉しそうにはい、とお弁当を差し出す


すると、瑠璃華のお弁当に興味があった京子と花も声をかけてきた




「ねぇ、私も瑠璃華ちゃんの少し貰っていいかな?」

「あたしも瑠璃華の食べたいな…ね、いい?」

「うん、こんなのでよかったら…沢田君と獄寺君も食べる?」


「え?いいの?」

「うん!私あんまり食べないし…獄寺君も食べる?」




瑠璃華は(何故か不機嫌になっている)獄寺を見た。が、
「……いらね」
と、そっけなく返された

こっちを見ようともしない獄寺に、瑠璃華は、何故か申し訳なくなった




「!…ご、ごめん……そういえば獄寺君って、イタリアから並盛町に来たんだよね…?」

「…だから何だよ」
 


なお不機嫌になる獄寺に、瑠璃華は悲しくなりながらも、小さく、だけどはっきりと言った




「…だから、帰国子女同士仲良くなれたらいいなぁって……」


「!」



顔を驚きの表情に変える獄寺に対し、瑠璃華は本気だった


瑠璃華はただ純粋に…同じ帰国子女である、獄寺と仲良くなりたかっただけだったのだ

決して、嘘じゃない。






「……チッ」



そんな瑠璃華の表情を見た獄寺は小さく舌打ちする

そして自身の箸で素早く、瑠璃華のお弁当の中のおいしそうな卵焼きをつまみ、ヤケになったみたいに口に入れた



「あ…」




そのあまりの早業に驚く瑠璃華

そして黙って卵焼きを食べる獄寺に、周りにいたツナ達も驚いた




「え…ご、獄寺君?」

「ハハッよっぽど腹が減ってたんだな!」




山本だけが笑い飛ばす中、獄寺はごくん、と卵焼きを飲み込んだ

瑠璃華が恐る恐る聞く




「ど、どうかな…?」



「…………悪くねぇ」




ぶっきらぼうに言われたその言葉に、瑠璃華はさっきの不安そうな顔から、安心したような顔に変わる


「よかったぁ〜……卵焼き、もし美味しくなかったら本当どうしようって思ってたんだ…」

「……フン」



また獄寺がそっぽを向く

が、瑠璃華は獄寺が、卵焼きを食べてくれた嬉しさでいっぱいだった




「瑠璃華ちゃん!私も瑠璃華ちゃんの卵焼き食べたい!」

「獄寺がうなるほどの卵焼きか…あたしも食べたいな」

「なー天草、まだ卵焼きあるか?オレも天草の卵焼きまた食いたくなっちまった」

「オ、オレも!」



あの獄寺が食べた(ここが重要)瑠璃華の卵焼きを食べたさに、みんなが口々に瑠璃華に言ってくる


そんなみんなに、瑠璃華はまた少し照れ臭くなり、ほんのり笑顔で言った




「うん、みんなどうぞ!……あ、でも卵焼きが足りないかも」

「え?」



瑠璃華のその声に、ツナが瑠璃華のお弁当を覗いてみると、まと卵焼きが2つ入っていた

さっき獄寺君が1つ食べたっていうことは…?



「あと2人しか、卵焼き食べられないってこと?」

「うん…」


「じゃあ、みんなで天草の卵焼きをかけてジャンケンな!」

「ジャンケン!?」

「やっぱりそれしか方法はなさそうね…あたしは参加するわ」

「私もジャンケンやる!」

「京子ちゃんまで?!」



意外とノリノリな山本・京子・花は先に「「「最初はグー!」」」と、やり始めたので慌ててツナも「お、オレも!」とジャンケンに加わる



ジャンケンポン!

あいこでしょ…
あいこでしょ…



その様子を見た瑠璃華は、最初はポカンとしていたが、またふんわりと微笑み、
「(…これから卵焼き、たくさん作って行かなきゃ)」と、思った




…結局、ジャンケンは、しばらくあいこが続き、みんなで半分こにして分けて食べ合った



「卵焼きうまいのな!」
「ホントだ!おいしい!」
「瑠璃華ちゃん、今度この卵焼きの作り方教えてよ!」
「…うん!」




そんなみんなに、またほんわかと笑顔になった、ある日の昼下がりの思い出







To Be Continued…

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